撮影日和     

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2014年11月30日(日)
鍋割山トレーニング まだ紅葉ありました

小丸付近のブナ林


小丸尾根下部にて
この秋は丹沢に通っていますが、今日もトレーニングのつもりで鍋割山を登りました。

朝一番のバスで登山口の大倉へ。丹沢の稜線は雲に隠れて見えません。四十八瀬川沿いの林道を辿って二俣まで来ると、まだ意外に紅葉が残っていました。時折雲間からの光が山腹を照らし、風景に立体感を与えてくれます。林道を終点まで歩き、登山道に入ります。ここから鍋割山まで2時間のコースタイムですが、今日は体が軽く感じられたので色気を出してチャレンジしてみたところ、1時間ちょうどで登りきることができました。
山頂は霧の中。大勢の登山者が鍋割山荘名物の鍋焼うどんを食べていましたが、こちらは手軽にカップうどんとおにぎりで済ませ、小丸に向かいます。ブナ林の尾根は濃密な霧に包まれ、梢から水滴がパラパラと落ちてきす。小丸の先で右に折れて小丸尾根を下ります。特に撮影するものもなく歩きやすい道を快調に飛ばし尾根の下部までくると、見事な紅葉の森がありました。紅葉は先週で見納めと思っていたので、とても得した気分になりました。じっくり撮影し、満ち足りた気持ちで林道を大倉へと向かいました。
2014年11月26日(水)
紅葉のユーシン渓谷

競演


幻の滝?(玄倉ダムにて)

11月23日(日)、最後の紅葉を求めて丹沢のユーシン渓谷を訪ねました。

玄倉林道のゲートまで車で入り、のんびりと林道を歩きます。秋晴れのハイキング日和で、子連れのハイカーも多く見かけます。紅葉はまさに見頃でした。谷の対岸の斜面が朝の斜光線を受けていい感じですが、手前の樹木が邪魔してなかなかうまく撮れる場所がありません。玄倉ダムまで来るとエメラルドグリーンの湖面に紅葉が映え、対岸から湖面に滝が落ちていました。はて、こんな所に滝があったかナと思いながらも、湖岸に下りて紅葉と滝の撮影を楽しみました。ユーシンでは、閉鎖中のロッジの前の広場で大勢のハイカーが弁当を広げていました。子供達は元気いっぱいに走り回っています。丹沢の奥庭の素晴らしい所なのに、ユーシンロッジが休業となったままなのが本当に残念です。
林道の往復だけでは物足りないので、大石山まで足を延ばしました。立派な橋を渡って尾根に取り付くとこれでもかというほどの急登が続き、面白いように標高を稼ぎます。途中に山名の由来となった巨大な石がありました。山頂の眺めは見事で、丹沢の主要ピークと富士山を眺めることができました。
ユーシンまで戻り、ベンチで昼食を食べてから林道を引き返しました。往きとは光線が変化しており、飽きることがありません。玄倉ダムまで来ると、なんと滝が消えていました。どうやら人工的な放水だったようです。夕日を受けて鮮やかさを増した紅葉を愛でながらのんびりと林道ゲートを目指しました。

2014年11月17日(月)
新入会員歓迎撮影会@上高地

流れ


水滴のアート


河童橋にて
11月8日(土)から1泊2日で全日本山岳写真協会の新入会員歓迎会を実施しました。目的地は昨年と同じ上高地です。

8日(土)の朝新宿に集合し、高速バスとタクシーを乗り継いで上高地へ向かいました。島々から沢渡にかけて道の両側の紅葉が見事でしたが、大正池はもう冬枯れの景色。ここで、現地参加のSさんと合流し、総勢12人が揃いました。内、新入会員は5人です。
まずは大正池の畔で撮影と昼食。新雪が来た穂高連峰が青空の下にそびえていますが真っ昼間で光線条件は今ひとつ。何枚か撮影してから田代池へ移動します。冬枯れの景色で光線も悪く撮るものがなかなか見つかりません。池塘などの水たまりを覗いてみたりしながら被写体を探しました。田代池でも写欲をかきたてるものは無く、おしゃべりをしながら歩いているとつい撮影会であることを忘れてしまいます。田代橋、穂高橋を渡り梓川の右岸をのんびり歩いて今宵の宿西糸屋前まで来ると、もう15時を過ぎていました。どんよりとした曇り空に河童橋まで行っても仕方が無いと判断し、そのままチェックイン。
風呂でゆっくり温まってから夕食までの間は新入会員を囲んでの懇親会。夕食後も消灯前まで撮影技術や会の話で盛り上がりました。

翌9日(日)は6時に起床。どんよりと曇っており、穂高連峰は雲の中です。外に出ても全く寒さを感じません。朝食を食べていると雨が降り出しました。
宿の玄関前と河童橋で記念撮影をしてから、傘を差して梓川右岸歩道を上流へ向かいます。昨年と同じ撮影条件に今一つ写欲が湧きませんが、新人会員の皆さんの手前写さないわけにはいきません。昨年とは違うアングル、違う被写体を必死に探しました。
昼に嘉門次小屋で全員が集合し、囲炉裏端で岩魚の塩焼きをいただきました。絶妙の焼き具合で絶品でした。ここの従業員のNさんも今年の新入会員です。仕事があるので撮影会には参加できませんでしたが、今回会うことができました。昼食の後はカメラをザックに仕舞い、おしゃべりをしながら左岸道をバスターミナルに向かいました。
2014年11月5日(水)
畦ヶ丸再訪


11月3日(月)、先週に続けて畦ヶ丸へ行ってきました。2週続けて同じ山へ行くことはあまりありませんが、今の時期は季節の移ろいをストレートに実感できて、なかなか味わい深いものですね。前回は畦ヶ丸から白石峠まで縦走しましたが、今回は前回と同じ西沢を登り、大滝沢を下りました。

下棚、本棚ともに前回は周りの木々がほんのりと色づき始めたばかりでしたが、今回はぐっと色づき、秋らしい写真を撮ることができました。一方で、前回黄葉が一番美しかった山頂直下のブナ林は、この1週間ですっかり葉を落としていました。当たり前の変化なのですが、それを改めて目の当たりして、変化に富んだ日本の自然のすばらしさを再認識しました。

写真は本棚です。
上が10月25日、下が11月3日です。紅葉のピークまでもうちょっとという感じです。11月6日頃がベストでしょうか。

2014年10月26日(日)
丹沢・畦ヶ丸

西沢にて


畦ヶ丸頂上付近のブナ林

今年は紅葉の進みが早いのでそろそろ低山も見頃かと思い、好天の25日(土)に丹沢の畦ヶ丸へ行ってきました。西沢のコースから畦ヶ丸へ登り、モロクボ沢ノ頭から白石峠を経由する周回コースです。

西丹沢自然教室まで車で入り、7時過ぎに歩き始めました。紅葉の渓谷を期待していましたが、まだあまり色づいていません。それでも朝日を受けて1本だけ真っ赤に色づいている木がありました。途中で下棚と本棚にも立ち寄ります。どちらも立派な滝で、じっくり撮影しましたが、やはり木々の色づきが足りません。沢を離れ、急な尾根を一気に登ってゆきます。今日は気温が高く汗が噴き出しました。畦ヶ丸直下のブナの黄葉が青空をバックに輝いていました。ここの黄葉が一番綺麗でした。
頂上のベンチに座って昼食を食べてからモロクボ沢ノ頭へ向かいます。大滝沢コースから分かれると人に会わなくなりました。白石峠までの稜線は特徴的なピークが無く、樹林の中の静かな道を黙々と歩きます。鹿の駆除をしているようで、時折パンパンと銃声が聞こえてきました。そういえば最近は鹿と出会うことが少なくなったように感じます。白石峠から急な坂を少し下ると突如豊かな水が湧き出し、沢の流れが出現しました。沢を渡り返しながらぐんぐん下るとやがて林道に出て、あとは山の余韻にひたりながら夕暮れ近い車道を西丹沢自然教室までのんびりと歩きました。

2014年10月20日(月)
錦秋の東北、沢に遊ぶ(2)

朝のブナ林をゆく


桃洞滝


桃洞滝を登る


紅葉に染まる赤水沢を下る

10月12日(日)、朝霧の中を桃洞沢登山口の森吉山野生鳥獣センターへ向かいます。日が昇ると霧は晴れ、雲ひとつ無い青空が広がりました。
野生鳥獣センターの駐車場で身支度を整えて出発。桃洞滝までは遊歩道を歩きます。ブナ林に朝日が射し込み、黄葉が輝いています。赤水沢を分け桃洞沢に入ります。穏やかな流れに紅葉が映っています。先を急ぎながらもシャッターを押さずにはいられません。桃洞滝は日陰になっていましたが、絶妙としか言い様の無い造形の妙に感嘆しました。撮影してから登攀準備をします。Tさんがトップ、A嬢がラストで私は中間をユマールで登らせてもらいます。ルートとなる滝の右側には立派なステップが掘ってありました。このあとの滝も同じ要領で登ります。Tさんはちょっとした滝でもまめにザイルを出してくれるので助かります。沢には沢山の甌穴が開いており、落とし穴に気を付けて歩いていましたが、突然A嬢が落ちてしまいました。足首をひねったようですが大事には至らず、胸を撫で下ろしました。撮影に夢中になりすぎて時間が気になりはじめ、軽く腹ごしらえをしてから先を急ぎます。次第に水量が少なくなってきましたが、どこまでも一枚岩のナメが続きます。沢は最後にブナ林の中の浅い窪みとなり、前方が明るくなってきたと思ったら938メートル峰と941メートル峰とのコルに登り着きました。そのまま反対側の赤水沢へ下ってゆきます。すぐに顕著な窪に入り、水が流れるようになりました。一枚岩のナメをスリップに気を付けながら下ります。755メートルの二俣は紅葉に囲まれた別天地。やがて滝が現れ、懸垂下降します。支点の位置が悪く、滝壺に振られそうになりますが、岩に刻まれたステップに助けられました。兎滝は上の段を懸垂したあと下の段はザイルを2本繋いで長い懸垂となりました。滝はこれが最後。日暮れまでの時間が気になり、ベースを上げます。穏やかな流れを日暮れと競争しながら下ります。薄暗くなってくると、水の中が見えにくくなり、甌穴に落ちないように目をこらし続けます。とうとうヘッドランプを出しました。左岸に上がってしばらく進むと立派な踏み跡があり、間もなく桃洞沢との二俣に着きました。これで一安心。おしゃべりをしながら鳥獣センターの駐車場を目指しました。
秘湯ムード満点の杣温泉に寄ってからA嬢が事前に調べていた鷹ノ巣の比内地鶏の店に向かいましたが、残念ながら休業。仕方なく近くのショッピングモールの安っぽい和食屋に入りましたが、外観によらず美味しい比内地鶏を食べることができた。大館能代空港の道の駅へ移動し、トイレの陰の静かな場所にテントを張りました。

13日(月)、ゆっくり7時に起き、朝食を食べて荷物を整理してから帰途につきます。A嬢の「仙台で牛タン!」の希望を叶え、仙台で一旦高速を下りました。リーズナブルな値段で味、ボリュームともに大満足しました。近くの和菓子屋でずんだ餅を買ってから再び東北道に入ります。午後になって遅れていた台風の影響で雨が降り始めました。若干の渋滞はありましたが20時過ぎに新宿に到着。台風の強風が吹き始める寸前に帰宅することができました。

2014年10月19日(日)
錦秋の東北、沢に遊ぶ(1)

安の滝


滝壺の虹

体育の日の三連休は、全日本山岳写真協会のA嬢から東北の桃洞沢に誘われました。今回のメンバーはA嬢とA嬢の山仲間のTさん、私の3人です。

台風19号が接近しつつあり直前までやきもきしましたが、沢に入る日曜日の秋田の予報が晴れとなり、決行となりました。10月10日(金)、22時に新宿駅で待ち合わせ、東北道を北上します。那須で一旦高速を下り、那須高原の道の駅で車の脇にテントを張って寝ました。

11日(土)、テントが夜露でびしょ濡れになりましたが、素晴らしい天気です。再び東北道に入り、運転を交代しながらひた走ります。盛岡で高速を下りて冷麺の昼食。国道46号線で田沢湖へ。湖畔の道からはキラキラと輝く湖面がきれいでした。国道105号線を北上し、今日は安の滝へ向かいます。ほとんど人家が無い田舎の風景を味わい、最後は4キロほどダートを走り、安の滝の駐車場に着きました。
渓谷沿いの歩道を上流へ向かいます。登るにつれて紅葉が鮮やかさを増してきます。安の滝が目の前に現れました。午後の光を受けて紅葉は最高の耀きを見せ、滝には虹がかかっていました。滝が陰る時間まで撮影を楽しみ、暗くなる寸前に車に戻りました。
打当温泉マタギの湯でさっぱりした後は食堂探し。阿仁前田の観光案内所の食堂にたどり着き、比内地鶏の親子丼を食べました。期待していませんでしたが大変美味しく、大満足。今宵の宿は、道の駅かみこあにの軒下にテントを張りました。

2014年10月6日(月)
紅葉の仙丈ヶ岳

鳳凰三山と北岳(小仙丈岳直下より)


噴煙を上げる御嶽山


ナナカマドの紅葉と甲斐駒ヶ岳(藪沢にて)

週末は台風8号が接近していたため、土曜日に南アルプスの仙丈ヶ岳を日帰りで登り、日曜日は晴れなくてもそれなりに写真を撮れる北八ヶ岳で双子池辺りの紅葉を撮影する計画を立てました。

10月3日(金)の晩に車で家を出て、深夜に伊那市の南アルプス登山バス乗り場の駐車場に到着。既に沢山の車が停まっていました。ここで車中泊。

4日(土)、北沢峠行きの始発バスに乗り込みます。どんよりと曇っていましたが、林道を上ってゆくにつれて明るくってきました。やがて雲の上に出ると鋸岳と甲斐駒ヶ岳が姿を現し、バスの乗客から歓声が上がりました。40分ほどで北沢峠に到着。
今日は日帰り装備なので速いペースで標高を稼ぎます。1ピッチで大滝ノ頭まで登ってひと休み。ここから少しで森林限界を抜け、大展望が広がりました。薄雲が広がっており太陽光線が弱いのが残念です。小仙丈岳では中央アルプスの右奥に噴火している御嶽山が見えました。ここでも硫黄の臭いが感じられます。御嶽山に向かって手を合わせている人が居ました。まさに今行方不明となっている方が居ると思うと複雑な心境です。亡くなられた方のご冥福を祈りつつ上を目指します。今年は黄葉が1週間ほど早いようで、右下に見える馬ノ背のダケカンバはすっかり葉を落としていました。
仙丈ヶ岳山頂は大賑わい。眺めを楽しみながら腹ごしらえをしてから仙丈小屋へと下ります。仙丈小屋の前のベンチでも大勢の登山者が休憩しており、小屋の売店は大繁盛の様子。馬ノ背ヒュッテを通って藪沢コースに入った辺りが紅葉のピーク。真っ赤なナナカマドを前景に、雲に見え隠れする甲斐駒ヶ岳を撮影しました。光線がフラットなのが残念です。ここから下は雲の中に入ってしまい、静かな樹林帯を大平へと下りました。北沢峠まで登り返すとちょうどバスが出るタイミングでした。
運転手の軽快な解説を聴きながら40分ほどのバスの旅。途中でカモシカに遭遇し、バスを止めてじっくり見せてくれました。
下山後は入野谷で風呂に入ってから北八ヶ岳へ移動。途中、諏訪のスーパーで夕食を買い、大河原峠の駐車場で独り宴会をしてから車中泊。

5日(日)、熟睡して爽やかに目覚めましたが、間もなく雨が降り始めました。雨脚は強く、あっさり撮影を諦め、朝食を食べてからのんびりと帰途につきました。

2014年9月30日(火)
快晴の丹沢主稜

塔ヶ岳からの富士山


鬼ガ岩ノ頭からの蛭が岳


桧洞丸からの大室山
早くも紅葉が始まっていました

先週は体調を崩し2日ほど仕事を休んでしまいましたが、週末には快復しました。土曜日は病み上がりとは思えないほど体が軽く、体調不良は単なる過労だったのではないかと思えてきます。この調子を維持するために急遽日帰り山行を決めました。仕事を休んだのに山に行くとは信じられないという家族の声を聞き流し、28日(日)は丹沢主稜の10時間コースを歩いてきました。

一番のバスで登山口の大倉に入りました。雲一つ無い快晴で、バスを降りると日差しが暑く感じられます。大倉尾根を登り始めると、やはり今日も体が軽く、自分でも驚く怪?ペース。水飲み休憩を1回入れ、2時間10分で塔ヶ岳まで登ってしまいました。空気は澄み渡り、富士山が見事です。ここでカメラを出し、撮影しながら縦走開始。丹沢山を越え、不動ノ峰、棚沢ノ頭を過ぎると鬼ヶ岩ノ頭に着きます。ここから眺める蛭ヶ岳は堂々としています。何カットか撮影してから鎖場を下り、蛭ヶ岳へと登り返しました。
頂上で昼食。目指す桧洞丸はまだ遠く、間には越えなければならないピークがいくつもあります。蛭ヶ岳西面の急斜面を慎重に下ります。ここまで来るともうすれ違う人は無く、完全に一人旅です。西丹沢らしいブナ林の道となりました。臼ヶ岳を越えて下った所が神ノ川乗越。さらに一つピークを越えるとようやく金山谷乗越に着きました。この辺りは痩せ尾根の崩壊が続いており、来る度に道が付け変えられています。ここから桧洞丸へ300メートルを登ります。さすがに疲れが出てきてペースが上がりませんが、足を止めずに一気に登りきりました。
誰も居ない頂上のベンチで富士山を眺めながら軽く腹ごしらえをしました。あとはバスに間に合うように下るだけです。かなり足にきているので、飛ばしすぎないように慎重に足を運びました。ゴーラ沢からは山腹に付けられた快適な道を西丹沢自然教室へと向かいました。

今日の累積標高差は約2300メートル。黒戸尾根からの甲斐駒ヶ岳往復に匹敵し、費用をかけずに有効なトレーニングになりました。

2014年9月24日(水)
サイクリング 箱根・長尾峠と足柄峠

長尾峠にて


御殿場付近

好天となった秋分の日、自転車で箱根を走ってきました。

小田原まで輪行し、8時に走り出します。交通量の少ない箱根古道に入り、標高差490メートルを上ります。ススキの穂が出始めており、杉林の中は涼しく、すっかり秋の気配です。外輪山まで登り切ると、一旦少し下って宮城野で国道138号に合流しました。乙女峠手前で国道からそれて長尾峠への道に入ります。ほとんど車の来ない道を緩やかに上ってゆくと標高911メートルの峠に着きました。正面に神山、眼下に仙石原と右奥には芦ノ湖。箱根火山の地形が手に取るように分かります。
トンネルを抜けると富士山の頂上だけが見えていましたが、すぐに雲に隠れてしまいました。爽快なダウンヒルで一気に御殿場へ。県道を足柄駅まで走り、駅前のベンチで休憩。
足柄峠へは細い道ですがほとんど車が通らず、涼しい木陰の中の上りが気持ちよい。走っている人も居ましたが、自転車と変わらないペースは驚きです。標高差400メートルを50分ほどで上りきりました。足柄城址を見たりしてしばらく休憩。
 峠からの下りは、初めは恐ろしいほどの急坂のヘアピンカーブが続き、ブレーキがすり切れてしまうのではないかと思うほど。スピードを抑えて慎重に下りました。傾斜がゆるくなってからは爽快にとばしました。途中の田んぼでは金色の稲穂と彼岸花がきれいでした。
大井町の健康福祉センターの「健楽の湯」に立ち寄ってさっぱりしてから新松田駅に向かいました。

今日の累積標高差は約1300メートルで、よいトレーニングになりました。 

2014年9月22日(月)
早川尾根(2)

朝の仙丈岳


緑のアサヨ峰

翌14日(日)は3時30分に起床。夜露がバリバリに凍っていました。早速星空を撮影しますが月明かりとガスで今一つ。朝食を食べているうちに明るくなり、ガスも晴れてきました。山々に適度に雲が絡み、なかなかの撮影条件ですが、レンズが・・・。一通り撮影してから山頂を後にしました。
一旦樹林帯まで下り、再び登り返して標高約2580mのピークへ。振り返ればびっしりと樹林に覆われたアサヨ峰がガスに見え隠れし、雲が陰を落とし、緑のコントラストが素晴らしい。三脚を立てて限られたレンズで何とか撮影しました。この先、樹林の中をだらだらと標高を下げ、早川尾根の頭を過ぎると間もなく早川小屋に着きました。ベンチで昼食を食べ、稜線でもう1泊するために水をたっぷり補給。再び重くなったザックを背負って小屋を後にしました。広河原峠まで来たところで、なんと縦走路が通行止めになっていました。昨年、赤薙沢ノ頭付近が崩落し縦走できないとのこと。そうは言っても踏跡の巻き道くらいあるだろうと思いましたが、レンズが使えない状況で無理して進む気にもなれず、ここから広河原へ下山することにしました。家に今日帰ると電話を入れ、水を捨ててから下り始めました。広河原峠からの下りは以前下った白鳳峠からの道とは違って歩きやすく、1時間半ほどで林道が見えるところまで下ってしまいました。沢の流れで体を拭き、全て着替えてスッキリしてから林道をのんびりと広河原まで歩きました。

2014年9月21日(日)
早川尾根縦走(1)

アサヨ峰からの甲斐駒ヶ岳


ブロッケン出現

9月13日(土)からの三連休は、南アルプスの早川尾根を計画しました。北沢峠から赤抜沢ノ頭まで縦走し、青木鉱泉へ下るコースです。

前夜は甲府のビジネスホテルに泊まり、7時のバスで広河原へ向かいます。夏の不順な天候の反動で登山者が押し寄せたようで、バスは超満員でした。広河原でバスを乗り換え、9時半に北沢峠に到着しました。
まず長衛小屋へ。北沢のテント場は朝から超満員。適当な所でビバークする予定なので、水5リットルを入れ、ずっしりと重くなったザックを背負って出発。北沢に沿って樹林帯を登り、1時間ほどで仙水峠下のガラ場に出ました。山は雲に包まれ見えませんが、ガラ場の向こうの青空が清々しい。仙水峠から急な樹林帯をしばらく登ると森林限界を抜けました。振り返れば甲斐駒ヶ岳の一部が雲の間から見えかけており、一旦ザックを下ろして三脚を立てました。足元のウラシマツツジがもう色づき始めています。しばらく待ちましたがそれ以上山が現れることはなく、三脚を片付けて再び登りに専念します。最後の急な岩場を越えると栗沢山に到着しました。
今日は時間がたっぷりあるのでしばらく山頂に留まっていたところ、甲斐駒を包んでいた雲が動き始めました。さあ撮影開始というところで大問題発生。標準ズームの絞りが故障し使えません。やむなく24mm単レンズと70-200ズームだけで撮影しましたが、シャッターチャンスだっただけにストレスが溜まりました。気がつけば甲斐駒を包んでいた雲はすっかり消え、山が完全に姿を見せていました。
泊まり場を探しながらアサヨ峰へ向かいましたが適当なスペースがなく、結局アサヨ峰山頂まで登ってしまいました。山頂の岩のすぐ脇の小平地を泊まり場に決めました。夕刻、押し寄せるガスに包まれたり晴れたりを繰り返し、ブロッケンも現れるなかなかの好条件でしたが、やはり標準ズームが使えないのがつらいところです。日が暮れて星空になってもガスが流れていたため、やりたかった微速度撮影は諦めて早めにシュラフに入りました。

2014年9月15日(月)
2014全日本山岳写真展 皆様ありがとうございました

混雑する写真展会場


環境大臣賞受賞作品「光の中へ」

全日本山岳写真展は今年も1万人を越える入場者があり、大盛況の裡に終了しました。
今回、私の作品「光の中へ」が環境大臣賞を受賞し、多くの方々からお褒めの言葉をいただいたことも大変嬉しく、心に残る写真展となりました。
1年がかりの準備を経た写真展ですが、終わってみればあっという間の1週間でした。
さあ、来年の写真展へ向けて活動開始です!

2014年9月1日(月)
2014全日本山岳写真展 準備完了
いよいよ明日から9月7日まで全日本山岳写真展が開催されます。
今日は午前9時に50名の会員が東京芸術劇場に集合し、壁面の組み立て〜作品パネル搬入〜壁への取付〜キャプション取付〜スポット照明取付調整という流れで会場作りを進め、午後4時に全ての作業が完了しました。
その後、前夜祭と称して盛大に乾杯したことはいうまでもありません。

皆様のお越しをお待ちしています!
2014年8月20日(水)
南アルプス撤退

便ヶ島への林道は崩壊で通れず


霧の森で(Gさん撮影)


雨の森で

台風11号が日本列島付近を通過中の8月10日(日)の晩に、光岳から聖岳を縦走する予定で横浜を発ちました。今回は会社の山仲間のGさんと二人です。

途中の道の駅で仮眠しましたが、夜が明けても台風一過の晴天というわけにはいかず、雨の中を登山口の便ヶ島への林道を進みました。北又渡まで来たところで土砂が林道を塞いでおり、登山口まで入ることができませんでした。
こういう展開も予想はしていたため落胆はさほど大きくはなく、行き先を塩見岳に変更し鳥倉林道へ向かいました。林道ゲートの駐車場に着いても雨は降り続いていましたが、登るかどうか迷いながらうろうろしているうちに雨が上がり、雲の切れ間から青空まで見えるようになりました。これで登る決心がつきました。
駐車場から30分ほど林道を歩き、登山口で昼食を食べてから登り始めました。寝不足の割には快調なペースです。日差しはありませんが、雨に洗われた緑が鮮やかです。深い森を撮影しながら登っていきました。
コースタイム通りに三伏峠に到着。下の水場まで往復した後、気象通報でGさんが天気図を書きました。台風崩れの低気圧から延びる寒冷前線の南下で、明日の天気は絶望的なようです。夕食は野菜たっぷりのきのこ鍋を腹一杯食べました。

12日(月)、一応塩見岳をピストンするつもりで4時起床。外は濃密なガスです。朝食の準備をしているとザーッと雨が降り始めました。これできっぱり諦めがつきました。ゆっくり朝食を食べ、テントの中でテント以外の物を全てパッキングし、雨の中でテントを撤収しました。
カメラもザックに仕舞って下りましたが、途中で小降りとなり、三脚を立ててじっくり森を撮影しました。雨が降っていても美しいものは美しい。「たとえ天気が悪くても最低1枚は作品と呼べる写真を撮る」という気持ちで、半ば意地でシャッターを切りました。2時間弱で登山口に到着。林道を30分ほど歩き、駐車場に着きました。
車で林道を大鹿村まで下り、分杭峠を越えて高遠のさくらホテルで温泉に入り、帰途につきました。

この夏は天候不順で、長期休暇だった割には成果が上がりませんでした。まあ仕方がありません。自然が相手ですからね。

2014年8月17日(日)
北海道(8)

観光客で賑わう旧北海道庁


北大植物園にて

8月7日(木)、今日も曇り空です。午前中は旧北海道庁と北大植物園を見学しました。旧北海道庁は赤レンガ造りの外観もさることながら、樺太の歴史の展示がとても興味深く、じっくり時間をかけて見学しました。北大植物園は森の緑と花が大変美しく、写真を撮りながらゆっくり森林浴を楽しみました。車で二条市場へ移動し、海鮮丼を食べてからお土産を購入。さらに駅の地下街で、フェリーでの夕食と朝食を買ってから苫小牧へと向かいました。ウトナイ湖の道の駅に寄って野菜を買い、苫小牧東港のフェリーターミナルに予定通りの18時に到着しました。
乗船してすぐに風呂に入ってスッキリ。風呂を出ると、ちょうど出港するところでした。部屋に戻って夕食。帰りはデラックスルームになったので、とても広くて快適です。ワインを飲みながら持ち込んだ食料で優雅に打ち上げをやりました。

8月8日(金) 6時半に自然に目が覚めました。7時45分に秋田に寄港。パンの朝食を食べ、午前中はテレビを見たり日記を書いたりしてのんびり過ごしました。風呂に入ってから、昼食はレストランでカツカレーを食べ(スキー場のようなメニューしかありませんでした)、食後は部屋でお茶をしてから昼寝。天国のようなひとときでした。定刻15時30分に新潟着。思ったほど暑くありません。
横浜まで関越道をひた走り、13日間の北海道の旅が終わりました。

2014年8月16日(土)
北海道(7)

やっと見えた利尻山(稚内の高台から)


牛、牛、牛(猿払牧場)


霧の朝(日ノ出岬キャンプ場)

8月5日(火)、「今日はウニ漁をやります」の放送で目が覚めました。朝食をいただき、鴛泊港まで送ってもらいました。3人で記念写真を撮ってから乗船。利尻を後にしました。ノシャップ岬を回り込み船の進む方角が替わると、なんと、曇り空ながら利尻山がはっきり見えています。
とりあえず稚内公園の高台へ。公園の先の未舗装路を入ってゆくと、眼下に海、その向こうに利尻を眺められる最高のポイントがありました。利尻山をしっかり目に焼き付けてからノシャップ岬へ。岬まで来ると利尻山はもう雲に隠れていました。稚内へ引き返して副港市場で海鮮丼を食べてから、オホーツク側へ向かいます。宗谷岬を回って国道238号線を南下。大雨洪水警報が発令中ですが雨はほとんど降っていません。ただ、時々濃密な海霧の中を走るようになります。道の駅「さるふつ公園」に寄り道し、その後は広大な牧場に乳牛の群を見ながらの快適なドライブを楽しみました。浜頓別でクッチャロ湖に立ち寄ります。湖岸に気持ちの良いキャンプ場がありました。いつか泊まってみたい所です。雄武まで来たところで夕方になり、道の駅のJAで夕食を買って日ノ出岬のキャンプ場へ。広大な芝生に車を横付けしてテントを張りました。
ビールと日本酒を飲みながら、刺身、地元産のカニとホタテのかまぼこ、おでん、海草サラダの豪勢な夕食を楽しみました。

8月6日(水)、日ノ出岬なので日ノ出を見ようと4時にアラームを仕掛けましたが、濃密な霧で願いは叶いませんでした。6時半に起床。霧雨が降ったようでテントが濡れていました。
238号線をさらに南下します。湧別でサロマ湖に立ち寄りました。三里浜の展望台に上がると、サロマ湖とその反対側にオホーツク海が広がっていました。それ以外何もない、いかにも北海道らしい広大な眺めです。湧別の町で昼食に海の幸を食べたかったのですがなぜかどこも休業で、結局、遠軽で札幌ラーメンのチェーン店で昼食。寄り道をしながらかなりのんびりしてしまったので、この先は走りに集中します。丸瀬布から無料の高速に入り、札幌へ向かいました。札幌でビジネスホテルを探し、なんとか大通り公園にあるホテルに予約を入れることができました。
チェックインしてから、ジンギスカンを食べにキリンビール園へ。夫婦揃って驚くほどよく食べ、飲みました。

2014年8月15日(金)
北海道(6)

山が見えないので近くの物を撮るしかありません
(姫沼付近で)



静かなオタドマリ沼

8月3日(日)、10時50分発の鴛泊行きフェリーに乗り込みました。今日も曇り空で霞も強く、なかなか利尻島が見えません。到着の30分前くらいでやっと島影が見えてきました。
今回利尻でお世話になるHさんが鴛泊港まで迎えに来てくれました。Hさんは全日本山岳写真協会の仲間で、撮影のために8年前から利尻に住んでいます。今日しか天気が期待できないので、早速時計回りで島を案内してもらいました。山は全く見えませんが、姫沼、オタドマリ沼、南浜湿原を歩きながら聞くHさんの草花の解説が面白い。仙法志御崎公園でアザラシを見てから久連のHさん宅へ。コーヒーで一息いれてから、沓形の利尻ホテルの温泉に行きました。温泉は地元の社交場といった感じで、皆が顔なじみなのに驚きました。ぬるい湯船につかりながら話は尽きず、1時間も長湯をしてしまいました。
Hさんの心づくしの夕食をいただき、大画面のテレビで利尻のお宝映像を楽しみました。

8月4日(月)、予報通り朝から雨。朝食の後、Hさんの写真仲間のFさん宅へ4K動画を見に行きました。家に入ると、強力な熱風ストーブで今朝の拾い昆布を乾燥しているところでした。オーディオルームの巨大テレビにビックリ。コーヒーを飲みながら撮りっぱなし無編集の動画を見て、あーだこーだとしばしお喋りをした後は、利尻町立博物館で利尻の歴史をじっくりお勉強。博物館を出ると一時的に雨は上がっていました。昼食を食べに沓形へ。移動途中で一瞬だけ利尻山が頂上まで見えました。故岡田昇さんの常宿だったという所で鍋焼うどんを食べ、汗だくに。岡田昇さんの写真集を見せてもらいました。午後は近くの森林公園を散歩。特段見るべきものもなく、1周したところで再び雨が降り始めたので、そのまま温泉へ直行しました。温泉を出ると土砂降りの雨。買い物をしてHさん宅へ戻りました。
天気予報をチェックすると明日も雨の予報なので、予定を早め明日の朝、島を離れることにしました。

2014年8月14日(木)
北海道(5)

ファーム富田


名寄のひまわり畑

8月1日(金)は富良野・美瑛周辺の観光です。
朝早いうちに、まずファーム富田へ。観光客が押し寄せる前の静かなうちに、よく手入れされた一面の花畑を鑑賞しました。ラベンダーソフトクリームを食べてから、麓郷の森へ。「北の国から」を懐かしく思い出しながら石の家を見ました。ドラマの中の世界とはいえ、ちょっと住んでみたいような家です。富良野に出て昼食を食べ、午後はフラワーランド上富良野、四季彩の丘と巡りましたが、ただの俗っぽい観光地で、ファーム富田とは全く格が違いました。空模様も怪しくなり、時折雨がぱらつきます。次の新栄の丘展望台は美しい丘の眺めが広がっていますが、背景となる山が靄で全く見えないのが残念でした。あとは美瑛の丘をドライブし、美瑛の町でパンとワインを買って白金温泉に寄り、キャンプ場へ帰りました。

8月2日(土)、今日は稚内への移動日です。美味しいパンで朝食を済ませ、テントを撤収し、8時に美瑛自然の村キャンプ場を後にしました。
旭川に出て、道の駅に立ち寄りながら北へ向かいます。名寄でひまわり畑に寄り道しました。売店も何もない広大な畑で、一面のひまわりが圧巻でした。道の駅びふかで昼食。ここまで来ると交通量が減り、快適なドライブです。稚内までの残りの距離がどんどん少なくなってゆきます。15時半に稚内に到着。稚内駅と道の駅が一体化した施設となっており、とても綺麗になっていたのに驚きました。観光案内所で情報収集をしたところ、明日は利尻へ渡るというのに明後日から天気が崩れるとの予報にがっかり。西の台風12号の動きが気になります。
ホテルにチェックインの後、ビールを買いに出かけると、町では祭りをやっていました。ホテルの夕食は北海道らしいメニューで、地酒も飲み大満足でした。

2014年8月13日(水)
北海道(4)

黒岳へ向かう


エゾコザクラの群落(北海沢)

7月31日(木)、午前0時過ぎにトイレに出ると、一昨日以上の星空でした。たまらず三脚を立てて暫く撮影しました。シュラフに戻ってからも目が冴えてしまい、そのまま3時のアラームで起床。外を見るといつの間にかどんよりと曇っていました。昨日のうちに白雲岳を往復したのは正解だったようです。
朝食を食べて出発。今日も風が強いため、雨具を着て歩きます。白雲岳分岐から北海岳までは、広大な吹きさらしの道です。北海岳頂上で10分ほど休憩してから黒岳へ向かいます。北海沢の谷間へ下ると風は収まり、残雪とお花畑の別天地となりました。黒岳石室で小休止の後、今回の最後のピークである黒岳へひと登り。残念ながら大雪の山々は雲に包まれてしまい展望はありませんでした。記念撮影をしてから層雲峡へ向けて下山します。リフトが真下に見えるほどの急斜面ですが、よく整備され歩きやすい道です。登山道の両脇には花が咲き乱れていました。ここまで来ると多くの日帰り登山者とすれちがいます。七合目がリフトの終点ですが、リフトには乗らずに五合目まで歩きました。あまり歩かれていないようで道は荒れ気味で、最後に結構疲れてしまいました。五合目からはロープウェイで層雲峡へ下りました。
「黒岳の湯」でさっぱりした後近くの食堂で腹ごしらえをして、層雲峡・大雪山写真ミュージアムを見学しました。旧層雲峡小学校の校舎がそのまま市根井孝悦さんの写真館となっており、体育館に夏〜秋、講堂に冬〜春の作品が展示されています。最高の条件下で撮影された素晴らしい作品ばかりで、見応えのあるものでした。
登山の後は観光です。今日は美瑛へ移動します。夕食の買い出しをしてから美瑛自然の村キャンプ場へ。18時過ぎに到着、快適な草地にテントを張りました。つまみとビール、ウイスキーで夕食とし、ほろ酔い気分でシュラフに入りました。夜遅く雷雨となり、夜半に雨は上がりました。

2014年8月12日(火)
北海道(3)

忠別岳避難小屋で出会った鹿


ミヤマキンバイ(白雲岳避難小屋付近)

7月30日(水)、朝食後テントを片付けていると、雪渓の対岸に3頭の鹿が現れました。ちょうど朝の光が当たり、最高の条件で撮影することができました。
大分軽くなったザックを背負って縦走路へ登り返し、忠別岳を目指します。昨日よりは靄が薄く、振り返ればトムラウシ山がぐんぐんせり上がってきます。ハイマツの海の向こうには東大雪の山なみが浮かんでいました。忠別岳の頂上では風がやや強いながら、眺めは最高。今日はこの先なだらかな道が続きます。忠別沼まで下ってゆくと岸辺にはワタスゲが風に揺れていました。少し登り返して平ヶ岳へ向かいます。ほとんど大平原といった趣で、白雲岳をバックに登山者が豆粒のようです。白雲岳がぐんぐん近づいてきます。高根ヶ原に入るとあちらこちらにコマクサの大群落がありましたが、残念ながら花は盛りを過ぎていました。白雲岳避難小屋への最後の登りは雪渓からの流れの脇に花が咲き乱れる別天地でした。テントを張り水を汲んで煮沸した後、白雲岳を往復しました。分岐から頂上まで誰にも会わず、山は貸し切り状態。頂上からは沢山の雪渓を擁した旭岳が目の前でした。記念撮影をしてからテントへ引き返しました。
水場で体を拭いてさっぱりしてから夕食をたらふく食べ、19時30分にシュラフに入りました。

2014年8月10日(日)
北海道(2)

五色ヶ原からのトムラウシ山


忠別岳へ向かって

7月29日(火)、2時に起きて星空を撮影しました。沼の反対側でガサガサ音がするのでヘッドランプを向けると、沢山のキツネの目が光り、なぜかこちらへ向かって走って来る気配です。餌があると思ったのでしょうか。石を投げると藪の中へ姿を消しました。
再度シュラフに入ってひと眠りし、3時半に起床。うどんの朝食を食べてから、朝の撮影。真上には真っ青な空が広がっていますが、残念なことに山は霞に包まれていました。(ロシアの山火事の煙だと後で聞きました。)テントを畳んで記念写真を撮ってから出発。湿原の外れから少し下り、清冽な水場で飲み水を補給。ここから泥の急登の後、しばらく笹とハイマツの間を登ると、雪渓のある花園があり、エゾコザクラとチングルマが咲き誇っていました。この先、笹とお花畑が交互に現れ、その度に夢中で写真を撮りましたが、初めて訪れた時に感激したどこまでも続く百花繚乱のお花畑にはついに出会うことができませんでした。どうやら長年の間に植生が変わってしまったようです。エゾキンバイのお花畑の所でのんびりお湯を沸かして昼食。ここから40分ほどで五色岳に着きました。ここまでほとんど人に会いませんでしたが、縦走路では頻繁に登山者とすれ違います。背の高いハイマツの中の切り開きを下り、鞍部から右へ少し下ると忠別岳避難小屋の幕営地に着きました。
目の前の雪渓から豊富な水が流れ出しています。雪渓の脇にはエゾコザクラが咲いていました。ウイスキーで乾杯した後は気持ちよく昼寝タイム。カレーで早めに夕食を済ませ、いつでも寝られる体制に。太陽が稜線に隠れると急に気温が下がりました。18時30分にシュラフに入りました。

2014年8月9日(土)
北海道(1)

沼ノ原より東大雪の山々


大沼の夕暮れ(トムラウシ山を望む)

勤続30年のリフレッシュ休暇を取得し、夫婦で北海道を旅しました。

7月27日(日)、熱帯夜の横浜を4時に出発し、新潟で10時30分発の小樽行きフェリーに乗船。日常の慌ただしさから逃れ、何もする必要が無い贅沢なひとときを楽しみました。けれども今回は波が高く揺れが大きかったので、気分が今一つでした。

28日(月)、5時に小樽に上陸しました。雨上がりで少し寒いくらいです。コンビニで朝食を済ませて層雲峡を目指します。快適なドライブを楽しみ、層雲峡ロープウェイの駐車場に昼前に到着しました。
ここに車を置いてタクシーで沼ノ原登山口へ向かいます。運転手の話では昨日は大嵐だったようですが、今日は午後になって快晴となりました。熊鈴を鳴らしながら森の中を歩き始めます。クチャンベツ川の徒渉点を飛び石伝いに渡り、1カ所だけ急登がありましたが、意外にあっけなく沼ノ原の木道に登り着きました。池塘に太陽がキラキラと輝いています。トムラウシ山は逆光に霞んでいたましが、緑に覆われた石狩岳は原始の香りを漂わせていました。大沼まで、写真を撮りながらのんびりと木道を歩きます。
トムラウシ山を正面に眺める浜にテントを張りました。しばらくして単独の女性も到着。今日の泊まりは2組だけ。ウイスキーで乾杯してから夕食を食べ、静かな夕暮れを味わいました。

2014年7月20日(日)
雷!

今日は夕方から激しい雷雨に見舞われました。
あまりにもよく光るので、自宅のバルコニーに三脚を立てて撮影してみました。

左の写真は、比較(明)で6カットの写真を合成したものです。

2014年7月19日(土)
北岳、夏到来

大樺沢からの北岳


ハクサンイチゲと仙丈岳


霧の中のシナノキンバイ

台風が去り、週末に合わせて天候が回復するという予報に、千載一遇のチャンス到来かと北岳へ向かうことにしました。

7月11日(金)、台風の大雨で芦安からの林道が崩落したため、早川経由で奈良田まで入り、車中泊。

12日(土)、青空の清々しい朝を迎えました。超満員のバスで登山口の広河原へ。
広河原から見上げる北岳は、大樺沢の雪渓と青空とのコントラストが美しく、登高意欲がかき立てられます。二俣までは水と苔と木々の緑を撮影しながら歩きます。今回は動画も撮影しているので、かなりのゆっくりペース。二俣で昼食をとり、右俣コースを登ります。草すべりコースの合流点からはシナノキンバイのお花畑となりました。一部が鹿よけのネットで囲まれており残念でしたが、ネットが無い所が鹿の足跡だらけなのを見るとやむを得ないことなのかもしれません。小太郎尾根の上に出たところで一息入れます。小太郎山の先に甲斐駒ヶ岳、左に目を転じると仙丈岳がどっしりとそびえています。ここから肩ノ小屋までは花が見事で、光線状態も良く、仙丈岳をバックに沢山シャッターを切りました。
肩ノ小屋ではヘリコプターが来るため下のテント場しか使えず混雑していましたが、なんとかテントのスペースを確保しました。今回も若干頭痛を感じるのでビールは抜きで夕食を食べ、食後は薄暗くなるまで撮影を楽しみました。

13日(日)、予報に反してどんよりとした曇り空で、朝の撮影はできませんでした。
朝食の後、撮影機材だけを持って北岳山頂へ向かいます。風が冷たく手先が冷えます。山頂では結構遠くの山まで望まれましたが、やはり太陽が出てくれず、シャッターを押すことなく肩ノ小屋へ引き返しました。一旦テントに入って休憩していると、いきなり雨が降り始めました。外を見ると一瞬にしてガスに包まれ真っ白な世界となってしまいました。雨がひどくなる前にテントを撤収しようと外に出ます。風が出てきたので、テントを飛ばされないように気をつけながら大急ぎで撤収しました。
あとは下山するだけなので、霧の中をゆっくりと下ります。稜線から離れると風はなくなりました。霧に包まれ幻想的なお花畑の中を下ってゆきます。やがて雲の下に出て、大樺沢の雪渓が見えるようになりました。雨は降ったり止んだりを繰り返しながら次第に本降りとなってきました。二俣に着いてほっと一息。バスの時刻まで十分余裕があるので、右岸から流れ込む苔むした流れなどを撮影しながらのんびりと下りました。
広河原に着いたのはバスの2時間前でしたが、タイミングよく相乗りタクシーが客待ちをしており、バスとほぼ同じ料金で早い時刻に奈良田まで出ることができました。
いつものように「ヘルシー美里」で温泉に入ってから帰途につきました。

2014年7月8日(火)
櫛形山

キンポウゲ咲き乱れるアヤメ平


失われた光景?(2002年6月の原生林)

7月6日(日)、梅雨の晴れ間がうまい具合に週末に当たったので、日帰りで櫛形山へ行ってきました。

早朝4時前に家を出て、南アルプス市県民の森まで入りました。春ゼミの大合唱の中、よく整備された歩きやすい登山道を登り始めます。前日まで雨が降っていたようで湿度が高く汗が噴き出しますが、それが心地よく感じられるのは体調が良い証拠。快調なペースで祠頭まで2ピッチで登ってしまいました。まず山頂に寄ってから明るい林を裸山へ向かいます。甲府では晴れていたのですが、櫛形山は霧に包まれ、サルオガセに付いた水滴が光っていました。霧で展望のない裸山を通り過ぎ、アヤメ平へ向かいます。鹿の食害でアヤメが全滅し、今は全体が金網で囲まれています。扉を開けて中に入ると、アヤメの代わりに一面のキンポウゲのお花畑が迎えてくれました。いつものように原生林コースを通って祠頭へ戻ります。原生林で目を閉じれば鳥のさえずりと頬をなでるそよ風が心地よく、確かに櫛形山の森に居ることを実感しますが、目を開けるとかつての夢のような光景はどこへ行ってしまったのでしょうか。最近は来る度に原生林も荒れてきたように感じていましたが、今回、林床の植生がますます貧弱になっており、とうとう1枚もシャッターを押さずに通り過ぎてしまいました。なんとも寂しい限りです。ほこら小屋で休憩し、カメラをザックにしまい、トレーニングを兼ねて県民の森まで一気に下りました。

2014年6月20日(金)
新緑の乗鞍高原、上高地

静寂(まいめの池)


初夏に咲く(どじょう池付近)


三本滝


朝雲晴れる焼岳

PC修理のため、久しぶりの更新となりました。
屋久島から帰った次の週末は全日本山岳写真協会の撮影会に参加し、乗鞍高原と上高地へ行きました。

6月6日(金) 、久しぶりの夜行です。土砂降りの雨の中を新宿に集合。雨に濡れた新緑の森も魅力的だよネなどと強がりを言ってみたところで、これだけ降っているとさすがに無理。メンバーの不安を乗せたバスは予定通り22時10分に出発しました。

7日(土) 、午前2時半頃に乗鞍高原のまいめ池の駐車場に着き、そのまま4時まで待機。Aさんの「雨は上がってます」の声がにわかには信じられません。既に明るくなりはじめており、まいめの池まではほんの3分ほど。静まり返った水面に新緑の白樺が映り込んでいます。乗鞍岳の残雪の山腹が少しの間現れましたが、すぐに隠れてしまいました。バスでどじょう池へ移動。こちらはミツガシワが沢山咲いており、全く雰囲気が違います。池の近くではレンゲツツジが咲いていました。ここで再び雨が降り始めました。乗鞍スカイラインを少し上って三本滝へ。駐車場から雨の中を滝まで15分ほど下ります。三本滝はかなり増水しており、迫力がありました。場所が狭いため、順番待ちをしながら撮影します。本降りの雨にカメラが大分濡れてしまいました。駐車場に戻ると間もなく雨が上がりました。バスで牛留池へ移動すると薄日が射してきました。ここでも池に映り込む新緑を撮影し、最後に善五郎滝へ移動。駐車場から白樺林の中を10分ほど歩いて滝壺へ。滝の下の淵に岩魚が悠然と泳いでいました。
予定の撮影ポイントをすべて回って皆満足したところで上高地へと向かいます。上高地バスターミナルにバスを置き、河童橋に15時頃到着。穂高は雲に隠れて見えませんでした。今日の宿、西糸屋に入り部屋のメンバーと暫く話をしてから風呂へ。風呂から出ると、外はまた土砂降りの雨になっていました。楽しく夕食を食べて部屋に戻ると睡魔に襲われ、あっさり寝てしまいました。

8日(日)、一晩中雨が降り続き朝の撮影はほとんど諦めていましたが、4時半にIさんの「山が見えているよ」の声に飛び起きました。慌てて準備をして皆で大正池へ向かいます。雨上がりの上高地は谷間に朝雲が漂い、清々しい気に包まれていました。いつもとはちょっと違う雰囲気の田代池に寄ってから大正池で三脚を立てます。穂高連峰はなかなか姿を見せてくれませんが、大正池を取り囲む新緑が水面に映り美しい。宿の朝食の時間を7時から7時半に遅らせてもらってぎりぎりまで粘りましたが、穂高は一部しか姿を見ることができませんでした。朝食に遅れないよう大急ぎで宿に引き返しました。
朝食後、河童橋で集合写真を撮ってから、梓川右岸を明神へ向かいます。時折日が射し、流れや小池に映る新緑が鮮やかで、撮影に夢中になりました。明神で左岸に渡ります。この辺りのニリンソウを楽しみにしていましたが、どうやら今年は雪解けが早かったようで花はほとんど終わりかけており、周りの草がかなり伸びてしまっていました。まだ十分時間があるので、マクロレンズで苔などを撮影して遊びながらバスターミナルへと向かいました。
ビールを買ってバスに乗り込んだ途端に雨が降り始めました。絶妙なタイミングには驚くしかありません。今回は出発時は絶望的な天気だったにもかかわらず、結果的には条件に恵まれ、実り多い撮影行となりました。

2014年6月9日(月)
屋久島(6)

2頭のヤクシカがこちらを見ていました(矢筈岬)


人に全く無関心なヤクザル(西部林道)


大川の滝

5月30日(金)、今日も晴れています。朝食の後レンタカー屋に電話を入れて車を確保できました。今日は島を反時計回りで観光です。
最初のポイントは矢筈岬の一湊灯台。遊歩道では猿と鹿に出会い、岬からコバルトブルーの海を見ます。
永田ではウミガメ産卵地の永田いなか浜に下りてみました。ウミガメが卵を産んだと思われる窪みがあり、そこから亀が通った跡がまっすぐ海に続いていました。
西部林道は緑に包まれた細い道が続きます。何度も鹿に遭遇しました。左の斜面に猿を見つけ、車から降りてしばらく観察していると、猿の群でした。下の方の1頭の猿を撮影していると、大きな音を立てて立派な角を持った鹿も登場。動物の密度の濃さは驚きです。ほとんど人を恐れない、というより人に無関心という感じです。下に居た猿がこちらに上ってきて、私の存在に気がつかないかのように足下を通って斜面を登っていきました。
大川の滝はスケール、美しさともに期待通りで、構図を変えながらじっくり撮影し、かなり長居してしまいました。中間でちょっと寄り道してガジュマルの巨木を見学。全く期待していませんでしたが、これがまた面白い。根?の一部がくり貫かれて道路になっていました。壮絶な姿形のなんとも不思議な木です。次は千尋滝。展望台から距離があり、増水時の迫力が凄いそうですが、今日は水量が少なく残念。この鯛ノ川の下流にある竜神ノ滝に寄ってから、海に注ぎ込むトーキノ滝も見ます。竜神の滝は立派な滝ですが、樹木に隠れて全体を見られないのが残念。トローキノ滝はスケールが小さく展望台から見下ろすだけなので、今一つでした。
予定していた所をすべて見終わり、Hさんと待ち合わせている尾之間のJRホテル屋久島へ向かいました。30分ほど早く着いたので、温泉に入ってスッキリ。
18時過ぎに、今日永田岳から下りてきたHさんが迎えにきてくれました。小島にある農家民宿山ノ瀬へ。声の大きなおやじさんが出迎えてくれました。今日の客は、我々以外にカップルが一組。おやじさんの話を聴きながらの美味しい夕食でした。昨晩のトビウオに続いて今晩は首折れサバを食べることができました。おやじさんの話はとどまるところを知らず、Hさんとあまり話せなかったのがちょっと残念でした。

5月31日(土) 、晴天が続きます。結局、屋久島に8日間滞在して雨が降ったのは1日だけでした。安房の港までHさんに送ってもらい、7時の船に乗り込みました。出航して間もなく、海を眺めていたらトビウオがスーッと水面の上を飛行するのが見えました。

初めての屋久島行は、期待を遥かに超えた素晴らしい8日間となりました。島の概念が分かると次に訪ねたい場所が出来、撮りたい写真のイメージが湧いてきました。時間もお金もかかるため気軽に行ける所ではありませんが、いずれまた行くことになりそうです。

2014年6月5日(木)
屋久島(5)

ウィルソン株


線路は続くよどこまでも

5月29日(木)、今回初めて夜明けから青空が広がっています。今日は屋久島のメインルートなので、混雑を避けるために他の人たちとは時間をずらして下ろうと思い、ゆっくりと出発しました。
森の中を下って行きます。ここまで来てもシャクナゲは沢山咲いています。すれ違った人としばし立ち話。佐賀県から何度も来ているが、森の中まで咲いているのを見るのは初めてとのこと。昨年は十年に一度の当たり年で、今年は三十年に一度の凄さだそうな。人によって表現がいろいろですが、今年がとんでもない当たり年であることは確かなようです。綺麗な高塚小屋を過ぎ、いよいよ縄文杉です。展望デッキから眺めることになりますが、距離があるため大きさの実感がわきませんでした。ここから先はガイド付きパーティーと抜きつ抜かれつになりました。ウィルソン株まで来ると、日帰りパーティーがどっと押し寄せてきました。株の中からのハート型の空の撮影は順番待ちになっていました。たいした道具もなくこの木を切り倒した当時に思いを馳せ、切られる前はどのような姿だっただろうかと想像を巡らしていると、悠久の時の流れを感じずにはいられません。
大株歩道入り口からはトロッコの軌道を歩きます。標高は既に千メートルを切っていますが、森の中なので意外に涼しく感じられます。幾筋もの美しい支流が左から注ぎ込んできます。小杉谷事業所跡で昼食。ここに1970年まで林業のための村があったそうです。14時のバスに余裕の筈でしたが、道草を食いすぎました。最後は根を詰めて歩き、荒川口に着いたのはバスが出る5分前でした。
屋久杉自然館でバスを乗り継いで安房に戻ります。再び番屋峯キャンプ場にテントを張ってからホテルの風呂に行き、さっぱりしました。永田岳に居る写真家のHさんとのメールのやりとりで、明日は同じ民宿に泊まることにななりました。スーパーで飛び魚の刺身とサラダを買い、豪勢な夕食で独り下山祝いをしました。

2014年6月4日(水)
屋久島(4)

黒味岳にて


平石岩屋とシャクナゲ

5月28日(水)、4時起床。夜中にトイレに出た時には満天の星空でしたが、朝になると薄雲が広がっていました。
そこら中から水が流れ出している山腹をトラバース気味に花之江河まで登ってゆきます。次第に湿原の雰囲気が出て来て期
待が高まりましたが、花之江河自体は鹿の食害によるものか荒れ果てた雰囲気でがっかりでした。ここで尾之間歩道が合流し、一気に登山者が増えました。黒味別れから黒味岳を往復します。樹林帯を抜けるとシャクナゲが見事。黒味岳の頂上は巨大な花崗岩の上で、宮之浦岳へ続く主稜線の山々が一望できます。日も差してきて、素晴らしい一日になりそうな予感。黒味別れへ戻り、縦走路を行きます。投石平に出ると、思わず歓声を上げてしまいました。一面、シャクナゲの海です。そこに居合わせた登山者が言うには、今年は十年に一度の当たり年とのこと。ここから先はずっとシャクナゲだらけで、カメラが休む暇がありません。縦走路は筑紫岳、安房岳、翁岳を全て巻いて行きます。稜線だというのにそこら中で水が流れています。翁岳の下で、宮之浦岳を正面に眺めながら昼食。右手にシャクナゲに囲まれたゲンコツ岩を眺めながら宮之浦岳への登りにかかります。病み上がりのためか結構きつい。ピークかと思ったら、まだ栗生岳でした。
ようやく登り着いた宮之浦岳山頂では新鮮な感動を覚えました。振り返ればシャクナゲの海の中の縦走路、反対側には永田岳の特徴のある山容と、眼下の笹原にはやはりシャクナゲが点々と咲いているのが見えています。初めての山頂なので、標柱の前で記念撮影をしてから山頂を後にしました。
焼野三叉路まで一気に下ります。三叉路の手前の見事な群落を前景に永田岳を撮影。平石でシャクナゲの密度は最高に。平石を越えて背の高いシャクナゲの森の中へと下って行きます。被写体が減り、ようやく落ち着いて歩けるようになりました。
新高塚小屋は昨日泊まった石塚小屋とは違い登山者で賑わっています。小屋の前には立派なキャンプ用のデッキがあり、今日は迷わずテントを張りました。

2014年6月3日(火)
屋久島(3)

フカフカの苔


大和杉の前で

5月26日(月)、夜中から雨が降り始め、明け方からすさまじい風雨となりまし。さながらアルプスの吹きさらしの稜線にテントを張っているような状況です。さらに偏頭痛の症状が出てしまい、朝食もほとんど食べずにひたすら眠りました。昼過ぎ、写真家のHさんからメールが入り、この悪天の中、飛行機で島に着いたとのこと。どこかで会えたら楽しいことになりそうです。夕方には雨は上がり、空が明るくなってきました。天気図を書くと悪天は今日だけで、明日から晴れるようです。体調も徐々に元に戻ってきました。明日、入山することにします。夕食後にホテルへ風呂に入りに行き、気分をリフレッシュしました。

5月27日(火)、穏やかな朝を迎えました。テントを撤収し、バスで登山口のヤクスギランドへ向かいます。バスは海岸を離れてぐんぐん標高を上げ、40分ほどで標高1000メートルのヤクスギランドに着きました。
ゲートで協力金300円を支払って歩き出します。よく整備された遊歩道ですが、屋久杉の巨木をはじめ自然の密度が濃く、ここだけでもかなり楽しめそうです。今日はあまり道草をしている時間はなく、後ろ髪を引かれながら先を急ぎます。遊歩道を離れて花之江河歩道へ。アップダウンを繰り返しながらだらだらと上ります。時々見事な巨木と苔の光景が現れ、そのたびに三脚を立てて撮影します。突然ピイッという鋭い警戒音にびっくり。ヤクシカがじっとこちらを見ていました。尾根コースなのに至る所に水が流れているところが驚きです。
途中にある大和杉は天に向かってまっすぐ伸びた巨木で、木の下まで行ってみてその巨大さに度肝を抜かれました。こんなのを写真に撮るのはとても無理!と思いましたが、そうも言っていられないので、色々と構図を工夫してシャッターを押しました。
荒川支流の渡渉点は花崗岩の一枚岩の上の流れで、上流は森の中の苔むした流れとなっており、素晴らしい雰囲気でした。隣の尾根に乗り換えて再び標高を上げてゆきます。展望台まで来ると石塚小屋まであと少し。ロープを頼りに花崗岩の巨岩に登ると、黒味岳から翁岳への山々が間近に望まれました。少し下った湿地帯の流れで今夜の水を補給し、17時過ぎにブロック造りの石塚小屋に着きました。
誰も居ないので小屋に泊まることにします。小屋に入って荷を解いていると、3人パーティーが到着。今日泊まりは4人だけです。たっぷり水分を補給してから夕食を食べ、20時にシュラフに入りました。

2014年6月2日(月)
屋久島(2)

白谷雲水峡・苔の森
5月25日(日)、いよいよ屋久島の森に入ります。バスを乗り継いで白谷雲水峡へ。途中で運転手が自宅前でバスを停めて忘れた弁当を取ってくるというのんびりしたハプニングがありました。
白谷雲水峡を歩いていると、次から次へと苔むした巨木が現れます。巨大な切り株も多く、昔から人の手が入っていたことが偲ばれます。当時、一体何日かかって切り倒したのでしょう。次から次へと現れる被写体に夢中で写真を撮っていると時間がどんどん過ぎてしまい、白谷小屋まで登ったところで帰りのバスの時刻が気になり始めました。「苔むす森」は樹木も岩も全てが苔に覆われた空間が見事。ここから先は歩きに集中し、一気に太鼓岩まで登りました。太鼓岩では胸のすくようなすばらしい景色が広がっていました。宮之浦岳をはじめとする主稜線の山々がずらりと並び、下に目を移せば多様な緑がびっしりと広がっていました。
下りはバスに遅れないよう急ぎます。気持ちは焦っているのですが、あまりの美しさにたまらず三脚を立ててしまいます。それでもバスの時刻の30分前にはバス停に着きました。白谷雲水峡は一日かけても全く撮りきれませんでした。今度は雨の日に来たいものです。
2014年6月1日(日)
屋久島(1)

屋久島 安房に入港

ぜひ一度屋久島へ行ってみたいと長年想い続けていました。今回、思いきって5月に長期休暇を取得し、8日間かけて屋久島をじっくり味わうことにしました。

5月24日(土)、早朝羽田発の飛行機で鹿児島へ飛び、鹿児島から高速船で屋久島入りしました。途中寄港した種子島で、H2Aロケットの打ち上げを遠くに見ることができたのがラッキーでした。屋久島が近づいてくると、険しい山々が海から一気にそそり立つ様子に胸が高鳴ります。
13時に安房港に到着。船を下りると強烈な日差しが降り注いでいました。早速徒歩で番屋峯キャンプ場へ向かい、ベースを設営。すぐ前が海という気持ちの良いキャンプ場です。まずはガスカートリッジの購入と情報収集のため登山用品店へ。そのあと安房の町を一回りして概念を把握してから、近くのホテルへ風呂に入りに行きました。スーパーで夕食を買ってキャンプ場へ帰る頃には涼しくなり、ビールを飲みながら快適な夕暮れのひとときを楽しみました。

2014年5月7日(水)
ゴールデンウィークの悪沢岳

赤石岳は焼けませんでした


雷鳥


笊ヶ岳を望む幕営地


新緑の大井川

GW後半は単独で南アルプス南部に入りました。

5月2日(金)の晩に横浜を発ち、静岡から真夜中の山道を車を走らせます。狸に3回と鹿に1回遭遇しました。富士見峠を越えて井川へ下り、田代の駐車場で車中泊。

3日(土)の朝、気持ちよく晴れ上がりました。畑薙第一ダムで東海フォレストの送迎バスに乗り換えて椹島まで入りました。千枚岳への登山道は入ってすぐの桟道が雪崩で崩落し通れないとのことで、大井川上流の木賊橋から林道を上ることになりました。道の両側の満開のミツバツツジが目を楽しませてくれました。小石下からは登山道を歩きます。清水平の豊富な湧き水でのどを潤し、やがて雪の上を歩くようになりました。寝不足のためかペースが落ち、千枚小屋に着いた時にはバテバテでした。それでも暗くなるまでまだ時間があるので、もうひと頑張りして赤石岳が見える尾根の上まで上がりました。風を避けるために樹林の陰にテントを張りました。

4日(日)は晴天ながらも東の空が靄っていたため、残念ながら山は赤くなりませんでした。今日は悪沢岳を往復します。千枚岳への登りは朝の締まった雪にアイゼンがよく効きます。千枚岳からの岩稜が今回の核心部。トレースのおかげでコース取りに迷うことはありませんでしたが、岩場の下りと不安定な雪のトラバースに神経を使いました。危険地帯を過ぎ、悪沢岳へ広大な雪の斜面を登ってゆきます。背後には富士山がどんどんせり上がってきます。悪沢岳山頂で、360度の大展望を満喫しました。千枚岳へ戻る途中で雷鳥のつがいに遭遇しました。逃げることもなく餌をついばみ、カメラに収まってくれました。昼頃テントに戻り、午後はのんびり昼寝などして過ごしました。夜は初めてインターバル撮影に挑戦しました。(動画のページに掲載しましたので、ぜひご覧ください。)

5日(月)、朝からどんよりと曇っており、テントを畳んでいると一時雪が降舞いました。あとは下るだけです。よく締まった雪にアイゼンを効かせて快調なペースで下ります。清水平から雨になりました。振り返れば山は雲の中で全く見えません。小石下の先で林道に出ればあとは淡々と歩くだけ・・・のはずが、雨に濡れた若葉があまりにも美しく、カメラが雨に濡れるのもお構いなしで結構シャッターを押しました。椹島では登山小屋泊まりでしたが、風呂に入れるのが本当にありがたく、さっぱりした後はビールを飲みながら残った食料で豪勢な夕食を楽しみました。

6日(火)、明け方になって雨は上がりました。6時半の下山バスに乗ります。大井川の谷間に朝日が射し込み、雨上がりの新緑が瑞々しく輝いていました。

2014年4月29日(火)
奥多摩に新緑を求めて

新緑と綾滝


馬頭刈尾根の山桜

近郊の低山に若葉の季節がやってきました。母親を誘って滝めぐりのハイキングを計画しました。「関東ふれあいの道・鍾乳洞と滝のみち」と名付けられた、払沢の滝から馬頭刈尾根を越えて大滝へと下るコースです。

4月27日(日)、武蔵五日市からバスで新緑の秋川に沿って払沢の滝入口まで入りました。
ゆっくり写真を撮りながら30分かけて払沢の滝に到着。ちょうど滝に陽が当たり始めた時刻で、虹がかかっています。鮮やかな新緑と水の組み合わせが絶妙に調和し、日本的な美しさを醸し出していました。一旦払沢の滝入口へ戻って千足まで車道を歩き、天狗ノ滝への林道に入ります。林道終点から急な道を20分ほどで天狗滝に到着。立派な滝ですが前景になるものが無く、風情は今一つ。ここから綾滝への道は、足元に様々な種類のスミレやヤマルリソウ、イチリンソウなど小さな花が沢山咲いていました。綾滝は水がシュワシュワと泡立つように流れ落ちていました。ここからは今日一番の急登で、標高差焼く300メートルを一気に上ります。稜線の手前では山桜の花びらがはらはらと舞っていました。クライマーの声が聞こえてくると間もなくつづら岩に到着。岩場の基部を左へ回り込んで尾根上に出ました。所々に岩場のある尾根を歩いて富士見台に着きましたが、名前に反してほとんど景色の無い頂上だったので長居はせず、大滝への下り口で15分ほど休憩しました。ここから谷に向かって急斜面を下ってゆくと、やがて水音が聞こえてきました。苔の中の流れが美しく、振り返れば新緑が透過光を受けて目に鮮やかです。途中何度も三脚を立てながら、大滝までのんびりと下りました。大滝は完全に日陰となっていましたが、なかなか立派な滝でした。5分ほどで車道に出て、大岳鍾乳洞入口のバス停までのんびりと下って行きました。

2014年4月21日(月)
雄大なスケール 唐松沢滑降

スキーヤーと不帰T峰


八方尾根上部からの唐松岳
中央のコルがdルンゼのエントリーポイント


唐松沢を滑るT氏


広大な唐松沢

今シーズンもほとんどパウダーを滑れないまま残雪期に入ってしまいました。今回はTさん、Yさん、Sさんと4人で北アルプスの唐松岳へ登り、dルンゼから唐松沢を滑ってきました。

4月12日(土)の朝、下山口の二股に集合しました。車を2台デポして、2台で八方尾根スキー場へ移動。ゴンドラの乗り場は長蛇の列となっており、20分程度のロス。ゴンドラからリフトを乗り継いで八方池山荘まで上ると、大勢の登山者と山スキーヤーが出発の準備をしていました。ガイド率いる大パーティーと抜きつ抜かれつしながら、よく締まった雪に快調なペースで登ってゆきます。尾根の南側は風が当たらず暑いほどです。たっぷりと雪を纏った鹿島槍ヶ岳と五竜岳の眺めが見事。標高2500メートル辺りでいきなり雪質がガリガリのアイスバーンに変わり、クトーを装着。さらに稜線直下は尾根が細くなるのでスキーを背負ってアイゼンで登りました。主稜線に出ると剱岳をはじめ黒部側の山々が目に飛び込んできました。一旦少し下ってから唐松岳のピークへ登り返します。頂上は大勢の人で賑わっていました。
dルンゼのコルへアイゼンとピッケルで慎重に下ります。風の当たらないコルでほっとひと息。先行者が急斜面に飛び込むのを見て雪質を想像しながら滑降の準備と腹ごしらえをします。上部は足がすくむような傾斜ですが下の方には広大な斜面が広がっており、プレッシャーはそれほどありません。まずSさんが様子見に滑り込みました。南向き斜面と東向き斜面で雪質が異なり、Sさんのアドバイスに従ってまずは雪が柔らかそうな南向き斜面に滑り込みましたが雪が重く、結局東向き斜面へ移動。しばらくは快調に滑れましたが、いきなり雪の中から手で掴まれたかのように足を取られて派手に転倒してしまいました。悪い雪質は中間点のみで、下の方は場所を選べばまずまずの雪質でした。振り返れば岩峰に囲まれた雄大な谷間はアルペンムード満点です。傾斜が緩くなったところで大パラレルで気持ちよく下っていきました。左から天狗沢、続けて右から八方沢が合流したところで滝の高巻き。一旦スキーを外して右の小尾根へ一段上がった所で小休止。すこぶる眺めが良く、滑ってきた谷間のシュプールが逆光に輝いていました。反対側の狭い急斜面を横滑で慎重に下った先は一面のデブリランド。スキーを脱着しながら通過し、最後に湯ノ入沢を徒渉して林道に出ました。林道では意外に早く雪が無くなり、スキー靴で1時間ほど歩かされました。二股に着いた時にはもう十分満足、明日はのんびり帰るだけでいいやという話になりました。ゴンドラ駅まで車を回収に行き、そこでYさん、Sさんと分かれました。Tさんと二人で酒とつまみの買い出しに行ってから第一郷の湯に入り、そのまま駐車場で酒を飲みながら充実した一日を振り返りました。

2014年4月14日(月)
奥白根山貸し切り

五色山へ続く雪尾根


午後の奧白根山


夕日に染まる


一瞬の光


晴れゆく奧白根山

月曜日に休みが取れたので、久しぶりにじっくり写真を撮りたいと思い、2泊3日でで奥白根山へ行ってきました。3日間、山中では全く人に会うことはなく、貸し切り状態でした。

4月5日(土)、浅草から東武線の特急で日光へ向かいます。現地のバスは、中途半端な季節のためかガラガラに空いていました。いろは坂を上って山間に入るにつれ雲が多くなり、やがて雪が舞い始めました。
湯元温泉は一面の雪景色。登山ルートには今日のものと思われる足跡がついていました。スノーシューを着け、尾根への急登に取り付きました。雪は堅いですが、スノーシューはアイゼンのようによく効きます。傾斜がどんどん急になり少々怖い思いをしましたが、1ピッチでなだらかな尾根上に出ました。いつの間にか青空が広がっています。振り返れば男体山がどっかりと聳えていました。気持ちの良い尾根を登り、稜線に出たところで燧ヶ岳が目に飛び込んできました。傾きかけた太陽に新雪の質感が際立ち美しい。五色山に着くと、目の前に奥白根山が聳えていました。五色山の頂上一帯の木々に樹氷が輝いていました。一通り撮影してから、灌木にに囲まれた場所にテントを張ります。温かい飲み物でほっと一息ついてから夕方の撮影に出ました。樹氷と雪面が夕日に染まり、日没後は気温が一気にマイナス10度まで下がりました。ラジオの天気予報では、明日にかけて真冬並の寒気が入るとのこと。20時半にシュラフに入りました。

6日(日)、4時半起床。雪が降っています。朝食の後はラジオを聴いたり地図を眺めたりして過ごしました。時折明るくなるので外の様子を伺いますが、山はガスに包まれたままです。1日テントにいても面白くないので、とりあえず前白根山を通って避難小屋まで行ってみることにしました。ちょうど出発するタイミングで雲が動き始め、雲間からのスポットライトが奥白根山を照らしました。スノーシューで前白根山へ向かいます。前白根山手前の急斜面はスノーシューのまま何とか登ってしまいました。前白根山から先はトレースがなくなりましたが、スノーシューの威力で夏と変わらないペースで快調に進みます。避難小屋への下り口には立派な道標が立っていました。樹林の中をトラバース気味に下ってゆきます。避難小屋の入り口は雪に埋まっていました。時々青空が見え日も差してきたで、奥白根山まで行くことにしました。広い雪原を進むと、右へ奥白根山を示す道標が立っていました。ダケカンバのの林の中を登ってゆきます。樹林帯を抜ける所でスノーシューをデポし、アイゼンに替えました。ルートが分からないので、急でしたがまっすぐ登ってゆきます。ここへきて天気が悪くなってきました。息を切らせて頂上と思われる所に登り着きましたが、まだ先に本当の頂上が見えていました。風も出てきてホワイトアウト気味になってきたので、ここで引き返すことにしました。消えかけたトレースを探しながら、急なところはバックステップで慎重に下ってゆきます。樹林帯に着いたところでひと安心。再びスノーシューに替えて、あっという間に避難小屋まで下ってしまいました。五色山への稜線では風が強くなり、手袋を二重にしてネックゲーターで顔をガードして進みます。前白根からの下りはアイゼンを使いました。テントに帰り着く頃には完全に悪天になっていました。16時に天気図を書くと、強い冬型になってきています。17時頃には猛烈に風が強くなってきました。灌木に囲まれたテントは風にやられる心配はしませんでした。夜中にトイレに出ると完全に風雪となっていました。

一晩中強風が吹き荒れました。夜中にトイレに出ると温度計はマイナス13度を指していました。7日(月)の朝になっても強風は収まらず、撮影を諦めて朝食の準備を始めたところ急に外が明るくなり、ガスが切れ始めました。朝食を後回しにして完全装備でテントを出ると、奥白根山が姿を現していました。相変わらず風は強いですが、ガスで見え隠れする山に夢中でシャッターを押しました。手袋を二重にしてもすぐに手先が痛くなり、厳冬期並の厳しさです。一通り撮影したところで、テントに逃げ帰りました。朝食を済ませ、ラジオをを聴きながらゆっくり荷物を片付けるうちに風は収まり、テントを畳む時には穏やかな晴天になっていました。
登ってきた尾根をスノーシューでぐんぐん下ります。気温が上がりスノーシューに雪のだんごが付き始めたので途中でツボ足に替えました。最後の急斜面はピッケル、アイゼンで慎重に足を運び、湯元温泉まで一気に下ってしまいました。
「山月五識の湯」に寄ってさっぱりしてからバスに乗り、車窓から日光の山々の眺めを満喫しました。列車に乗ってから、一人ビールで乾杯。

2014年3月29日(土)
吉野梅郷「梅の公園」 最後の梅祭り



先日、テレビで残念なニュースが流れました。
青梅市で5年ほど前から「ウメ輪紋ウイルス」が流行し未だに終息に至っておらず、吉野梅郷の「梅の公園」ではウイルス防除のために今年の梅祭り終了後に全ての梅樹を伐採するというのです。数年後には再び植栽するそうですが、再生にはある程度の年月がかかると思われるので、今回は見納めと思って行ってきました。

混雑を避けて8時には現地に到着しました。ちょうど花の最盛期に当たったようです。私と同様に撮影目的で訪れた人達があちらこちらで静かにシャッターを切っていました。春本番の陽気で、日向では汗ばむほどの暖かさです。次第に人が多くなり、あちこちから感嘆の声が聞こえてきます。構図を変えながら1日中でも撮っていられる感じですが、11時頃にはかなり混雑してきたので名残を惜しみつつ公園を後にしました。

(4月1日から伐採が始まるようです。)

2014年3月23日(日)
ブナに会いに丹沢山へ

とても丹沢とは思えません


山頂にて


陽光降り注ぐ堂平

記録的大雪から1ヶ月が過ぎ、近郊の山でも雪解けが進んでいると思い、昨日久しぶりに丹沢の堂平のブナ林を訪ねました。

塩水橋の駐車スペースに車を置き、車止めのゲートを越えて沢沿いの林道を歩き始めます。すぐに残雪が道路を覆っていました。沢には残雪が多く、崩壊したばかりのスノーブリッジがあったのに驚きました。雪の断面の高さは2メートルはありそうです。2月の大雪直後は一体どれほど積もったのでしょうか。登山道入口の少し手前では右側の岩壁が崩壊し、道路が完全に塞がっていました。今崩れたばかりといった感じで、恐る恐る乗り越えます。登山道に入り、尾根の上に出た所が天王寺峠。快調なペースで天王寺尾根を登ってゆきます。今日は大気が澄んでおり、行く手には雪の稜線、右手には丹沢三ツ峰がはっきりと見えています。次第に雪の上を歩くようになり、ブナの森に入ってゆきます。やせ尾根の急登を越えれば、稜線直下の美しいブナ林。ザックを下ろしてじっくり撮影タイムとなりました。稜線に出て左へ僅かで丹沢山に到着。雪の消えた地面にシートを広げ、富士山と南アルプスを眺めながら、昼食はうどんを作りました。春先とは思えないほど見晴しがよく、澄んだ青空が清々しい。
山頂を後にします。天王寺尾根の分岐を過ぎると足跡がぐっと減りました。瀬戸沢ノ頭を過ぎ適当な所から直接堂平へ下ります。広々としたブナ林では調査用の(?)赤や黄色の杭が雪で隠されており、撮影の邪魔にならないのが嬉しい。1時間ほど滞在して撮影を楽しみました。雲が多くなってきたのでカメラを片付け、地図とコンパスを頼りに下ります。鹿柵を除けながら進むうちに遊歩道の木の階段を見つけました。あまり整備されていない様子でしたが、登山道に合流する所で疑問が解けました。遊歩道の入口にはロープが張られ「立入禁止」の看板が立っていました。元々道が無かった所を「かながわの美林50選」に指定して立派で目障りな遊歩道を作り、あげくは人が多くなって荒れてきたから立入禁止とは。山を一番荒らしているのは一体誰かと言いたくなります。ここから20分ほどで林道に出ました。あとはのんびり林道を下りましたがやはり残雪が多く、谷を回り込む所ではデブリが道を覆っていました。

2014年3月17日(月)
乗鞍岳を滑る

広大な雪原を行く(ピークは剣ヶ峰)


高天ヶ原を目指す


銀盤を滑る(左のコルから滑って来ました)

山スキーシーズン真っ只中。いつも一緒のTさんとその仲間も集まり、総勢6人で乗鞍岳の高天ヶ原を滑ってきました。

3月14日(金)の晩に出発し、深夜の諏訪SAでTさんと合流。

15日(土)、集合場所の乗鞍高原休暇村手前の駐車場へと向かいます。島々付近では山の上の雪化粧した木々は朝日に輝いていました。乗鞍高原まで上ってくると、目の前に真っ白な乗鞍岳が姿を現し、大いに気持ちが高まってきます。
駐車場で全員が集合し、3本のリフトを乗り継いでスキー場のトップへ上ります。大勢の山スキーヤーが出発の準備をしていました。我々もシールを着けて出発。樹林の切り開きを登ってゆきます。今回はパウダーを期待していましたが新雪はほとんど積もっておらず、下はガリガリでシールが利きません。すぐにクトーを装着しました。森林限界で位ヶ原山荘へのルートを分け、剣ヶ峰と高天ヶ原の間のコルを目指して広大な斜面を進みます。沢の中に入ると雪面はますます堅くなり、何とか柔らかそうな雪面を拾ってだましだまし登ってゆきます。背後に槍穂高がせり上がってきました。コルに着くと強風が吹いていました。稜線上は雪が付いていないので、左側から巻くように登り、広々とした高天ヶ原の頂上に到着た。もの凄い強風が吹き荒れていますが風を避けられる場所がありません。暫くうろうろと歩き回りましたが、この風ではシールを外すこともできないため、予定していた東面の尾根の滑降は諦めてクトーを着けたままコルへ引き返しました。
コルで滑降の準備をして、ガリガリの斜面に滑りこみます。快適とはいえませんが、それなりにターンが決まります。Tさんはパウダー用のロッカースキーで来ていたので相当苦労していました。何度も立ち止まって撮影しながら広大な斜面にシュプールを刻みました。樹林帯に入り風がなくなったところで休憩。緊張が解け、メンバーはますます賑やかです。あとは切り開きをのんびり下るだけだですが、荒れた雪面がそのまま固まっており、ゲレンデに出るまでは冷や冷やものでした。
商店で酒とつまみを買い込んでから民宿へ。ゆっくり温泉に入り、美味しい食事と酒で楽しいひとときを過ごしました。

16日(日)、晴天となり昨日よりも気温は高いですが、麓でも風が強く、全員全くやる気なし。雪質も悪く楽しめないのでこのまま帰ろうという話になり、朝食の後で現地解散となりました。

2014年3月16日(日)
雨ヶ立山 山スキー

重たい新雪をかき分けて登る


雨ヶ立山はまだ遠い
(引き返し地点で)

3月7日(金)の晩からTさんと山スキーに出掛ける予定でしたが、冬型の気圧配置で土曜日は荒れ模様との予報だったため一旦中止となりました。土曜の朝に改めてTさんと相談し、日曜は少し天気が良くなりそうなので、日曜日帰りで雨ヶ立山を滑ることにしました。

8日(土)の午後自宅を出発し、雪降る水上の道の駅でTさんと合流。いつものように車中宴会となりました。早い時間にスタートできたのでたっぷり酒と話を楽しみ、22時頃それぞれの車でシュラフに入りました。

翌9日(日)の朝、期待以上の青空が広がっていました。宝川温泉の駐車場にちょうど除雪が終わるタイミングで到着。
輝く新雪を眺めながら林道を進みます。板幽沢手前で林道を離れ尾根をなだらかに登ってゆきます。密な樹林帯で滑降向きとはいえません。地形図からは広けた所を登ってゆくのを想像していたが、実際には複雑な地形で小さなアップダウンがあり、眺めもありません。次第にブナ林に変わり景色が開けてきましたが、今度は雪が重くなり、交代でラッセルします。尾根上に出ると、燧ヶ岳、至仏山、奥白根山が目に飛び込んできました。振り返れば谷川岳と朝日岳も稜線の上に顔を出していまする。重たい雪に喘ぎながら、なだらかな尾根をたどりますが、雨ヶ立山はなかなか近づきません。標高1585メートル地点で時間切れとなり引き返すことにしました。 
重たい新雪を警戒して意識的にしっかり膝を曲げて最初のワンターンを何とか決めました。小回りはできないので、立木にぶつからないよう立ち止まりながら、登ってきたトレースに沿って慎重に滑ります。何ヶ所かの小さな登り返しにも苦労しましたが、40分ほどの滑降で林道に出ました。あとは、ほとんど傾斜のない林道を宝川温泉までのんびりスキーを漕ぎ下りました。
宝川温泉でさっぱりしてから、帰途につきます。関越道は大渋滞で、32時過ぎの帰宅になりました。

2014年2月24日(月)
2014全日本山岳写真展会員の部 作品選考会

選考の最終段階

2月22日(土)、今年の全日本山岳写真展会員の部の作品選考が行われました。

今年の特徴は、デジタルカメラで撮影された作品がさらに増えたことです。また、フィルムカメラで撮影されたものもラボで全てデジタル処理でプリントされるようになりました。撮影手段、画像処理、プリント方式が入り乱れた状態となった結果、プリント結果のばらつきがかなり大きく、本番作品の制作段階では色合わせにかなり苦労することになりそうです。
一つ言えることは、プリントを見る目を持っている作者は、方式に関係なく美しく仕上げてきていることです。デジタル時代となり「何でもあり」の状況の中でしっかりと作品を仕上げるには、プリントを見る目を養うとともに、自分の作品を大切にするために安易に妥協はせず、納得のゆくまで何度でもプリントし直す「こだわり」が大事だと感じました。

2014年2月14日(金)
会津駒ヶ岳、三岩岳周辺のブナ林を滑る

雪降るブナ林を登る(会津駒ヶ岳)


三岩岳のブナ林


Tさんの滑り(会津駒ヶ岳)


Nさんの滑り(三岩岳)


雪の伊南川

2月8日から、今シーズンの初滑りをしてきました。冬型の気圧配置となり天気は良くないと分かっていましたが、ダメなら中腹のブナ林で遊べればOKという気持ちで、決行しました。今回のメンバーはいつもの山スキー仲間Tさんと、写真仲間のNさんとの3人です。

前夜に横浜を発ち、途中でNさんを拾ってから東北道へ。深夜0時半に西那須野塩原ICを出ました。1時間ほどでTさんの待つ道の駅たじまに着き、車中泊。

8日(土)、目を覚ますと車に雪が積もっていました。荷物を片づけているとTさんも起きてきました。今日は会津駒のブナ林を滑ることにして、とりあえず檜枝岐へ移動。檜枝岐スキー場の駐車場で朝食を食べ、出発の準備。
本降りとなった雪の中を滝沢橋から登り始めます。例年よりも雪は少な目。林道をショートカットして、尾根の上に出ます。今日は全く風が無く、山は静けさに包まれています。しんしんと雪が降るブナ林の中を着実に標高を稼ぎます。標高1700メートル付近で傾斜が緩くなり、この辺りで1本滑って遊ぶことにしました。東に向かって、ブナ林の中を滑り始めると、新雪がとても軽く、スキーが上手くなったような錯覚を覚えるほどです。お互いに写真を撮りながら一瞬で標高差150メートルほど下ってしまいました。ここでシールを着けて上り返しました。あとは檜枝岐まで下るのみ。下部では少し雪が重くなり何度か転倒しましたが、楽しく滑ることができました。
荷物を車に放り込み、駒ノ湯へ直行。温泉は我々3人の貸し切り状態でした。ここで今日帰るTさんと別れ、秘密の場所にテントを張りました。除雪の必要が無い最高のねぐらです。Nさんと鍋をつつきながら酒を飲み、21時まで語り合いました。

9日(日)。夜中にかなりの量の雪が積もり、明け方には除雪車がひっきりなしに作業をしていました。朝食を食べてからテントを片づけます。車の除雪が大変でした。
今日は三岩岳の途中まで登って遊ぶことにしました。葭ヶ平スノーシェッドを出た所に車を停め、尾根に取り付きました。新雪の量が増えましたが、昨日よりはかなり重たい雪です。少々藪っぽい尾根上を、先行者のトレースに助けられて順調に標高を稼ぎます。やがて気持ちの良いブナ林となりました。時折青空が顔を出しますが、隣の大戸沢岳は濃密な雪雲に包まれたままです。1427メートル標高点まで登ると風が強くなってきました。ここから先はホワイトアウト気味なので、今日はここまでとします。昨日と同じように東側斜面を滑って遊ぶことにして、風よけの穴を掘り、行動食を食べながら滑降の準備。
素晴らしいブナ林を滑ります。やはり雪が重くいきなり転倒してしまいましたが、あとは何とかターンを刻むことができました。標高差150メートルほど下ってタケナグラ沢がすぐ下に見える所でシールを着けて登り返します。45分かけて1427メートル標高点に戻りました。
シールを外して葭ヶ平へ向かってブナ林を滑ります。ブナ林が終わり藪っぽくなったところで右に尾根を外れて下大戸沢へと下ってゆきます。斜面がうねっている上に雪が重く、少々苦労しながら開けた沢に下り立ちました。沢に沿ってなだらかに下り、最後に一度スキーを外してツボ足で少し登り返して尾根へ回り込むと、朝のトレースに戻ることができました。最後の急斜面を下れば出発点の葭ヶ平に到着。
満足して今日も駒ノ湯へ。温泉の後で、村の奧にある白籏史朗尾瀬写真美術館へ行ってみましたが、残念ながら閉まっていました。。昨日と同じ場所にテントを張り、今日も鍋をつつきながら22時まで宴会。

10日(月)の朝も新雪が積もりましたが、昨日ほどの量ではありません。まだ雪は降り続いています。今日は仕上げに高畑スキー場で滑りを楽しむことにしました。朝食を食べてテントを畳み、スキー場へ移動。平日ということもありスキー場はがらがらに空いていました。ここは50歳以上でシニア券が使えるのがとても有難いです。13時までの半日券を購入。勿論リフト待ちはゼロで、雪質もまずまず。休まずリフトに乗り、半日で22本分も滑ってしまいました。13時でスキーを切り上げ、ゲレンデ下の食堂で昼食。こちらもボリュームたっぷりでした。
今回はずっと雪で山頂を踏むことが出来ませんでしたが、久しぶりに新雪滑降を満喫することができ、十分満足して14時過ぎに帰途につきました。

2014年2月1日(土)
横谷峡で氷の芸術を楽しむ

屏風岩氷瀑


王滝


氷の妖精

全日本山岳写真協会の撮影会に久しぶりに参加し、八ヶ岳の横谷峡へ行って来ました。自分を含め19名が集まりました。

1月26日(日)、車で現地へ向かいます。甲府までは晴れていましたが、季節風の吹き出しで南アルプスと八ヶ岳は濃密な雪雲に包まれていました。横谷温泉旅館の前で他のメンバーと合流。
早速、滝めぐりに出発。最初の乙女滝は南面にあり、昨日の暖かさで溶けてしまったのかほとんど凍っていません。遊歩道を上流へ向かうと、霧降の滝の前の斜面に人工的に水を流して氷瀑が作られていました。さらに上流の左岸には天然の屏風岩氷瀑があり、こちらは着物の柄のような風情です。魅力的な被写体とじっくり向き合っていると、しんしんと冷えてきます。ポットのお湯でコーヒーを入れ、腹ごしらえをしてから王滝へと向かいます。木の枝に雪が付き、満開の花のようです。王滝はその満開の雪の花に包まれていました。狭い撮影ポイントで交代しながら夢中でシャッターを切りました。いつまでも眺めていたいところでしたが宿の集合時間があるので撮影を切り上げ、来た道を引き返しました。
温泉でゆっくり温まった後は宴会で盛り上がり、さらにロビーでソプラノ独唱のコンサートも楽しました。

27日(月)、快晴です。ボリュームたっぷりの朝食を食べ、9時に玄関前に集合し出発。昨日よりは大分冷え込みました。
今日は最初に王滝まで上ってしまいました。昨日とはまた光線が違い、コントラストが強すぎるため後処理が必要ですが、なかなか良い雰囲気です。後続が到着したところで場所を譲り、一旦下りかけましたが、さらに奥におしどり隠しの滝があることに気がつき、そこまで足を延ばすことにしました。あまり踏まれていない雪道を30分ほどで到着。ナメのような滝でしたが、岸辺の木に霧氷の花が咲いていました。色々な構図を工夫しながら撮影を楽しみ、集合時間の14時に遅れないよう、来た道を引き返しました。
宿に預けた荷物を引き取り、送迎バスで駅へ向かうメンバーを見送ってから昼食を食べ、帰途につきました。八ヶ岳の眺めが素晴らしく、途中で車を停めて撮影しながら諏訪南インターへと向かいました。

2014年1月15日(水)
厳冬の赤城山

燃える朝日


霧氷輝く


午後になって晴れ上がった黒檜山

成人の日の連休、どこかに行こうと思いつつなかなか場所を決められませんでしたが、12日の夜から寒気が入るという予報に、翌日の霧氷を期待して赤城山へ行くことにしました。

12日(日)の晩に出発。ずっと星が見えていましたが、前橋から赤城山へ上るにつれて、チラチラと雪が舞うようになりました。ツルツルに凍結した道を慎重に走り、大洞の駐車場に23時過ぎに到着。強風が吹き、アスファルトの上を粉雪が走っていました。水割りを飲みながら軽く夜食を食べ、24時前にシュラフに入りました。

13日(月)、4時半にアラームで起きました。相変わらず風が強く、猛スピードで流れる雲の間に星が見えています。予定通り地蔵岳で撮影することにして、朝食を食べてから八丁峠へ移動。駐車場で準備をしているうちに明るくなってきました。
よく踏まれた登山道にはアイゼンの新しい跡があり、先行者が居るようです。日の出の時刻に遅れないようスピードを上げて一気に登りました。霧氷は期待通りです。小沼を見下ろす頂上直下のポイントに先行者が三脚を構えていました。自分も場所を決めて雲が切れるのを待ちます。やがて真っ赤な太陽が雲間から顔を出しましたが、雲の動きがあまりにも速くなかなか露出を決められません。こういう時、デジタルは有り難いものです。適当に露出を変えながらシャッターを押しまくりました。ひとしきり撮影した後、せっかくなので地蔵岳の頂上まで登りましたが、強風と霧で景色は見えませんでした。
車に戻り、今度は黒檜山に登るために登山口へ移動。黒檜山はまだ雲に包まれていたので、車の中でのんびりお湯を沸かして早めの昼食を食べながら待機します。雲間から日が射す頻度が増えてきたので出発。登山道はコチコチに踏み固められていたので、迷わず初めからアイゼンを着けました。尾根上に出ると眼下に大沼が見下ろせます。ワカサギ釣りのテントが沢山。寒風吹きすさぶ中なんと物好きな、などと他人の事は言えませんね。黒檜山から駒ヶ岳への山腹は霧氷で真っ白です。中間地点辺りまで登ったところで、時々ぱーっと青空が広がるようになってきました。依然としてもの凄い雲の流れです。気持ちが焦り結構なペースで登りきってしまいました。頂上周辺も霧氷が見事。気温は十分低いのですが、霧氷は強風に飛ばされてどんどん落ちています。頂上では山全体の写真は撮れないので、長居せずに山頂を後にしました。
下りもハイペース。日が射し始めた山腹を狙いましたが、予想通りかなり霧氷が落ちていました。
車で大沼を一周しながら撮影ポイントを探し、大洞の湖畔で三脚を立てました。ようやく黒檜山から雲が取れましたが、すでに霧氷はほとんど落ちてしまっていたため、撮影は早めに切り上げて赤城山を後にしました。

2014年1月2日(木)
ラッセルと大展望の栗沢山

戸台川にて


栗沢山ラッセルの途中で


朝日に染まる仙丈岳(栗沢山より)


甲斐駒ヶ岳(栗沢山より)


大展望の栗沢山頂上で

あけましておめでとうございます。
今年も精力的に山へ向かい、作品作りに励みたいと思います。皆様にとっても良い年になりますよう。

さて、昨年末、2月にラッセルでたどり着けなかった栗沢山へ、改めて単独で行ってきました。

仕事納めの12月27日(金)の晩に自宅を出発。深夜1時半に麓の道の駅「南アルプスむら長谷」に着き、ここで車中泊しました。
28日(土)は6時に目が覚めました。良い天気です。朝食を食べてから登山口の戸台へ移動。駐車場では大勢の登山者が出発の準備をしていました。
登山届を提出して出発。10センチほどの積雪で川原は真っ白です。戸台は晴れていましたが、山に入るにつれて曇が多くなり、山腹に影を落としています。八丁坂を快調なペースで登り、15時に雪降る北沢峠に着きました。駒仙小屋の幕営地では皆がテントを設営中でした。ここから先は踏み跡はあるもののツボ足では潜ってしまうため、ワカンを着け、一歩一歩ゆっくりと進みます。仙水小屋でトレースは終わっており、ラッセルとなりました。暗くなってきたのでヘッドランプを点け、樹林帯の中を慎重にルートを定めながら進みます。17時過ぎ、予定していた樹林の中の広場にテントを張りました。

翌29日(日)は4時45分に起床。今日は栗沢山まで道をつけるだけで精一杯、撮影どころではないと判断し、明るくなってから出発することにしました。気温マイナス15度、晴れ。最初からワカンを着けて歩き出します。すぐに樹林帯から出て、開けた谷間を上ってゆきます。振り返ると仙丈岳が朝日に染まっていました。仙水峠から、栗沢山への急登にとりかかります。本格的なラッセルとなりました。朝の光が森に射し込み、ダイヤモンドダストがキラキラと輝いています。一人ラッセルは遅々として進みません。期待に反して森林限界を抜けてもラッセルが続きます。悪い事に途中でワカンが壊れてしまいました。アイゼンに替えて、少しでも雪が浅そうな所を拾いながらじりじりと進みます。最後に岩場の急登を越えると栗沢山頂上でした。仙水峠から4時間以上かかっていました。
いつの間にか山々に雪雲がかかり、甲斐駒も見え隠れしています。記念写真を撮って山頂を後にしました。ステップを崩さないようにゆっくり下りましたが、1時間で仙水峠に着いてしまいました。ここから下は、既に立派な道が出来ており、のんびりとテントまで下りました。

30日(月)は2時45分起床。気温マイナス15度。星が出ています。風の音が聞こえない静かな朝です。
今日は最初からアイゼンを着けて出発。ヘッドランプの明かりで昨日つけたトレースを辿ります。昨日の苦労が嘘のようにどんどん標高を稼ぎます。森林限界を抜けた辺りで東の空がかすかに赤らんできました。さすがに稜線上では肌を刺すような寒風が吹いています。休まずに登り続け、約2時間で栗沢山頂上に着きました。
日が昇ると同時に、まず仙丈岳がピンク色に染まりました。続いて甲斐駒もオレンジ色に。仙水峠から一気にそそり立つ巨体は何度見ても迫力満点です。満足して山頂を後にし、のんびり撮影しながらテントへと下りました。
午後はラジオを聴きながら過ごしました。夕食後はテントと星の夜景撮影。全く風のない静かな夜でしたが、じっと撮影しているとしんしんと冷えてきます。テントに入る時に温度計を見るとマイナス10渡を指していました。20時前にシュラフに入りました。

31日(火)は3時45分起床。軽くスープを飲んで、星の撮影に出ました。カメラと三脚だけを持って、昨日目星を付けておいた場所まで登りましたが、小雪が舞い、星はぼんやりとしており、撮影を諦めてテントに戻りました。あとは帰ることを考えるのみ。改めて朝食を食べてテントを撤収しました。
燃料と食料が減ってすっかり軽くなったザックを背負って、舗装道路のようによく踏まれた道をぐんぐん下り、あっという間に駒仙小屋へ。北沢峠へ少し登り返し、大平小屋を通り過ぎて一気に八丁坂上まで下ってしまいました。小休止のあと八丁坂を下って戸台川の堰堤の所まで1ピッチ。大晦日に入山する沢山のパーティーとすれ違いました。昼前に戸台の駐車場に到着。日が射してきましたが、振り返れば甲斐駒はまだ雲の中でした。
いつものように「入野谷」で風呂に入ってさっぱりしてから帰途につきました。


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