撮影日和     

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2017年11月30日(木)
晩秋の鍋割山

雲間の光


鍋割山からの御正体山と北岳


衝撃の光景


西山林道にて

11月19日(日)、日帰りで鍋割山へ行ってきました。

冬型の気圧配置で冷え込みましたが快晴です。渋沢駅からのバスは超満員。終点の大倉でバスを降り、軽くストレッチをしてから7時40分にスタート。四十八瀬川に沿いの西山林道を1時間半ほど歩きます。二俣から林道終点までの間の紅葉を期待していましたが、意外にもまだ十分に色づいていませんでした。見頃まであと数日かかりそうです。空にはいつの間にか雲が広がっていました。

登山道に入ると後沢乗越へ一気に登ります。乗越付近は尾根が痩せていますが、立派なモミジが真っ赤に色づいていました。こから鍋割山へも急な登りが続きます。大勢の登山者と抜きつ抜かれつしながらぐんぐん標高を上げ、木道が出てくれば間もなく山頂に到着。

山頂は大勢の登山者であふれ、至る所で鍋焼きうどんを食べています。鍋割小屋は鍋焼きうどんの行列が外まで延びていました。私は西側の斜面に腰を下ろしてカップラーメンとおにぎりで昼食にします。すっかり曇ってしまい富士山も隠れていますが、雲の切れ間から真っ白に雪化粧した南アルプスをはっきりと見ることができました。

鍋割山を後にして、冬枯れとなった鍋割山稜を小丸へと向かいます。空はますます暗くなり、異様に冷え込んできました。フリースとレインジャケットを着て歩いても全く暑さを感じません。時々、ポツリポツリと小さな雪の粒が落ちてきました。小丸からは小丸尾根を下ります。急な斜面にジグザグにつけられた登山道を一気に下ってゆきます。モミジの木が沢山ある745メートル標高点の近くまで下ったところで、衝撃的な光景が広がっていました。なんと尾根の上がブルドーザー道でズタズタになっています。貴重な風景がまた一つ失われてしまいました。工事の目的は「歩行される方の安全のため危険木等の調査を実施し処理するため」だそうですが、全く意味が分からない光景でした。ショックに打ちひしがれた状態でしばらくブル道を歩くと、やがてブル道は右へ逸れて再び登山道となり、間もなく西山林道に下りつきました。イヤホンでFMラジオのクラシック音楽を聴きながらのんびりと林道を歩き、15時ちょうどに大倉に着きました。

2017年10月29日(日)
乗鞍岳撮影会(2)

八ヶ岳からの日の出


金色に染まる山腹の黄葉


摩利支天バス停付近

4時間起床、5時に玄関前に集合して大黒岳へ。見事な雲海が広がっていました。北に槍穂高連峰、南東には南アルプズ全山。八ヶ岳の麦草峠の向こうから太陽が昇ってきました。山を照らす光が次第に斜面を下り、やがて位ヶ原の黄葉が金色に輝きました。撮影が一段落したところで、体が冷えたので宿に引き返しました。

温かい朝食でほっと一息。今日の行動予定は人それぞれ。剣ヶ峰に登る人、バスで下ってまいめの池に行くという人、我々3人はじっくり紅葉を味わうべく、歩いて下ることにしました。玄関前で集合写真を撮ってから解散となりました。太陽が高くなるとポカポカと暖かく、小春日和です。我々は効率よく紅葉地帯に行くために、とりあえずバスにバスに乗り、位ヶ原で下車。

道路の両側は黄葉真っ盛り。初めは敢えて登山道に入らず、眺めの良い車道を歩きます。乗鞍エコーラインはサイクリングのメッカのようで、次々に自転車が上ってきます。皆さすがに苦しそうですが、黄葉を見ながらのダウンヒルはさぞかし爽快なことでしょう。途中から気分を変えて登山道に入ります。森の中のしっとりした紅葉も味わい深いものです。昨日までの雨で足元がぬかるんだ道が続きましたが、下るにつれて歩きやすい道になりました。隣の尾根にスキー場が見えてくると間もなく三本滝への道を分け、さらに下ると開けたゲレンデに飛び出しました。あと少しとゲレンデの中を調子よく下ってゆくと、リフト乗り場の建物で行き止まり。来た道を登り返すことになってしまいました。今度は正しい道を下り、やまぼうし駐車場に到着。観光センターの駐車場まではまだ少しあるので、ここで2人に待っていてもらい、私が車を取りに行きました。車道歩きも紅葉が美しく、車では気がつかずに通り過ぎてしまうようなポイントが何カ所もあり、コンパクトカメラでの撮影を楽しんでしまいました。

帰路、まいめの池の様子を見に行きました。全く霧が無いと、背後の斜面のコンクリート壁が見えてしまうことが分かりました。昨日の方が良かったと分かり、安心して池を後にしました。
中央高速は笹子トンネルから先は渋滞していたため、勝沼からはいつもの裏道を使って帰りました。

2017年10月28日(土)
乗鞍岳撮影会(1)

まいめの池


どじょう池


銀嶺荘にて

10月7日(土)から1泊2日で乗鞍岳、秋の撮影会へ。今回は現地集合です。雨の早朝、車で横浜を発ち、途中で2人をピックアップして松本を目指します。中央道の笹子トンネルを抜けると雨は上がりました。双葉SAでバイキングの朝食を腹一杯食べて、再び車を走らせます。霧流れる山々の眺めはなかなか味わい深いものでした。松本で高速を下り、乗鞍高原へ。少しずつ標高を上げ鈴蘭の観光センターまで来ると、木々が結構色づいていました。

あまり早く山の上まで登ってもガスで何も見えないと思い、しばらく下で撮影することにしました。とりあえず、まいめの池へ移動。小雨に時折薄日が差す条件で、雨に濡れた紅葉が鮮やかです。池の周りには沢山のカメラマンが三脚を立てていました。次はすぐ近くのどじょう池へ。こちらは静かな雰囲気で、鏡のような水面が黄葉を映していました。のんびり撮影しているいうちに空が明るくなる気配を感じたので、天候回復のドラマを期待して山の上へ移動することにしました。

観光センターへ戻りシャトルバスの停留所へ行くと、数人の会の仲間が居ました。バスは乗鞍エコーラインをぐんぐん上ります。位ヶ原で雲の上に出て一気に視界が開けましたが、再びガスに入って真っ白に。終点の畳平に着きましたが撮影できる状況ではなく、すぐに今日泊まる銀嶺荘に入りました。

とりあえず広い部屋に集まりましたが何もやることが無く、自己紹介などしているうちに後続メンバーも到着し、15時には今回の参加者23名が揃いました。部屋割りと夕食の時間を確認してからそれぞれの部屋へ。とりあえず風呂で暖まってから、夕食の時間まで部屋のメンバーと親交を深めました。食堂で賑やかに夕食を食べた後は、大部屋で二次会。夜になってようやく雲が切れ、月が出てきました。21時に就寝。

2017年10月22日(日)
紅葉の南アルプス南部へ(2)

千枚岳からの朝焼け


黄葉と赤石岳


千枚小屋

9月30日(土)、4時前に起きて外を見ると薄雲が広がっており、少しだけ星が見えている状態で、晴天を確信していただけに少々落胆。それでも朝食を食べて5時にテントを出ました。森林限界を抜けると正面に赤石岳が聳えています。東の空が次第に明るくなり、日の出直前に見事な朝焼けになりました。ただ、日の出の光は弱く、赤石岳は期待ほどには染まってくれませんでした。

千枚岳の先の岩稜帯で、今回撮りたかった紅葉を前景にした赤石岳の構図を見つけましたが、光が来ないのが残念。後で晴れることを期待し、とりあえず悪沢岳を目指します。丸山周辺のウラシマツツジは紅葉のピークは過ぎていました。

悪沢岳頂上では風が冷たく、風の当たらない場所を探して大休止。ここから眺める富士山は実に雄大です。上空は西側が青空、東側は曇り空と完全に分かれています。青空の面積が少しずつ広がっているように感じられ、実際、塩見岳と間ノ岳に日が当たり始め、今後の展開に期待が持てそうです。

山頂を後にして千枚岳へと引き返します。なかなか青空が広がらないので、のんびりと歩きましたが、赤石岳のポイントまで来たところでちょうど日が差してきました。ちょっと光が違うだけで紅葉は俄然鮮やかになり、夢中でシャッターを押しました。反対を見れば、丸山山腹の紅葉も見事です。

なんとか目的を達成し、満足して千枚小屋のテントに戻りました。大急ぎで昼食を食べてテントを撤収し、正午過ぎに下山を開始。足取り軽く、どんどん下ります。見晴台で悪沢岳を振り返ると、紅葉がますます鮮やかなような気がしました。尾根末端の鉄塔のピークへの登り返しにうんざりするのは毎度のこと。最後の下り、次第に沢音が近づき、吊橋を渡れば、長かった下りはおしまい。林道を少し歩いて17時ちょうどに椹島に着きました。

素泊まりの登山小屋には自分の他に一組だけで、貸切同然。風呂に入ってさっぱりして、ビールを飲みながらの夕食が最高でした。

翌10月1日(日)は暗いうちに起きて、朝一番の送迎バスに乗り、渋滞が始まる前に帰宅しました。

2017年10月21日(土)
紅葉の南アルプス南部へ(1)

岩頭見晴からの悪沢岳


駒鳥池には珍しくきれいな水が溜まっていました


千枚小屋別館の裏からの赤石岳

アプローチが遠くなかなか行きにくい南アルプス南部ですが、紅葉シーズンの週末が晴天の予報となったので、意を決して行くことにしました。

9月28日(木)、仕事から帰り念のためアプローチの道路情報を確認したところ、井川に入る通常ルートの新静岡ICから笠張峠を経由する道は工事で通行止めになっており、迂回路となる大日峠経由の道も土砂崩れで通行止め。南アルプス南部はいつもこんな調子。地図と睨めっこして、国道362号線から藁科川沿いの道に入って富士見峠につながる道を見つけました。そうこうしているうちに、出発は21時過ぎになってしまいました。

雨の東名を走ります。平日の夜なので、周りはトラックばかり。深夜0時過ぎに、新東名静岡SAのスマートICを出て、初めての道を走ります。国道を離れると道は非常に狭くなりました。途中、鹿に2回出会い、クネクネと標高を上げると濃霧に突入。全くスピードが出せず、どんどん時間が過ぎてゆきます。富士見峠の手前でいつもの道に合流しひと安心。午前2時半に畑薙の駐車場に到着。大変なドライブでした。すぐにシュラフに潜り込みました。

29日(金)、6時半起床。青空が広がっています。手早く朝食を済ませ、7時30分の送迎バスに並びましたが、平日というのに1台目には乗り切れず、結局30分遅れの2台目に乗車。椹島の到着は9時になってしまいました。

下山後の着替えをコインロッカーに預けて出発。2週続けての山だからか、寝不足の割には体が軽く感じられます。1ピッチで鉄塔のピーク。岩頭見晴らしを経て一旦下り、コルから小石下へと登り返します。いつもは休む小石下を通過し、林道を横断する手前のベンチで休憩。こからダラダラ上りがずっと続きます。風が強く山がザワザワと鳴っており、稜線はかなり厳しそうです。清水平で美味しい水を補給。ここで数パーティーを追い抜き、その後もペースが落ちることもなく、久しぶりに良い気分。標高2105メートルの見晴台から、赤石岳から悪沢岳、千枚岳の主稜線がよく見ました。ちょうど千枚小屋あたりが紅葉しているのが分かり、俄然登高意欲が高まってきました。駒鳥池はしっかり水が溜まっており、周りの樹林を綺麗に映していました。ここまで来ればあと一息。意外にあっさり、35分で千枚小屋に到着しました。

テント場は空いており、自分も含めて単独行のテントが3張りだけ。静かなのが嬉しい。持ってきた焼酎に気分良く酔い、夕食を食べて19時にシュラフに入りました。

2017年10月15日(日)
3ヶ月連続の北岳(2)

やっと青空が広がってきました


テントのすぐ横のナナカマドと鳳凰三山

24日(日)は4時前に起床。薄雲が広がっていますがなんとか星が見えています。パンとコーヒーで軽く腹ごしらえをして、ヘッドランプを点けて頂上へ。少し登るとガスに包まれてしまいました。西から吹き付ける風に震え上がります。30分ほどで頂上に着きました。次第に明るくなってきましたが、周りは真っ白です。登山者が続々と上がってきましたが、皆残念そう。日の出の時刻を過ぎ30分ほど粘りましたが、何度かガスが切れて山が見えたものの、光が差さず、ほとんど撮影はできませんでした。諦めて山頂を後にしました。

肩ノ小屋まで下るとガスが切れ始め、テントで朝食を食べているうちに日も差してきました。テント場の周りのナナカマドの赤が鮮やかさを増し、テント撤収の合間に光の様子を見ながらちょこちょこと撮影。割といい絵が撮れました。

9時前に出発。すっかり晴れ上がりました。小太郎山分岐まで、爽やかな秋の陽を浴びながらの稜線漫歩。昨日はいまいちだったウラシマツツジの絨毯が今日は鮮やかです。その向こうには仙丈ヶ岳の優美な姿。今日は撮影を楽しめました。稜線を離れて一気に下ります。二俣まで来ると、もう稜線は雲に包まれていました。相変わらずはっきりしない天気です。カメラをザックに仕舞い、広河原へと下りました。

2017年10月14日(土)
3ヶ月連続の北岳(1)

色づきはじめ


小太郎山


夕日は雲の向こう

9月23日(土)~24日(日)に北岳に登りました。北岳は3ヶ月連続です。

いつものように、深夜に芦安の駐車場まで入って車中泊し、23日(土)の朝は、雨が上がるのを待ってゆっくり起きました。朝食を食べてからザックに荷物を詰めていると、タイミングよく乗合タクシーの係の人が声をかけてきました。きわめて順調に広河原へ。

9時前にスタート。朝一番のバスが10台出たほどの人出だそうですが、時差登山なので登山道は空いており快適そのもの。天気の回復が遅く、二俣についても霧の中に樹林が浮かび上がるような状態でした。今回は右俣コースを登ります。標高が上がるについてガスが切れ、所々に色づき始めた木が見られるように。小太郎山分岐に出ると、西側の斜面にウラシマツツジの真っ赤な絨毯が広がっていました。仙丈ヶ岳も見え始めていましたが、まだ雲が多く、明日に期待して肩ノ小屋へ向かいました。途中で、西斜面の紅葉した木が一瞬の光に輝いていました。

14時半に肩ノ小屋に到着。テントを張り、ビールでいい気分になり昼寝。夕方になり、「ブロッケンだぁ」の声で目を覚ましました。カメラを持って稜線に上がると、小屋の前は人であふれていました。まだ雲が多く、頭上は青空ですが山が見えません。ふと横を見ると、隣に居た人と目が合い、同時にアーッと声を上げてしまいました。同じ会のK夫妻でした。今日は白根御池から上がってきて、小屋泊まりとのこと。17時を過ぎても続々と登ってくる登山者を見ながら、小屋が混む~と嘆いていました。
撮影を諦めてテントに戻り、夕食を食べて19時にシュラフに入りました。

2017年9月19日(火)
北岳再訪(2)

チシマギキョウ(肩ノ小屋付近)


アサヨ峰(右手前)と甲斐駒ヶ岳


マルバダケブキ

夜中に気分が悪くなり、戻してしまいました。7月に続けて連続で体調を崩してしまいました。一体どうしちゃったのだろう?
8月14日(月)、早起きの甲斐なくどんよりと曇っています。幸い、体調の方はそれほど悪くなく、朝食を食べることができました。この天気なので頂上へ行くのは止めて、ゆっくり下ることにしました。

時折薄日が差す中テントを撤収し、小太郎尾根を下ります。雲が多いながらも仙丈ヶ岳は見えており、湧き上がる雲の上に甲斐駒ヶ岳も顔を出しています。残念ながら光線条件が悪く作品にはなりません。小太郎山分岐で尾根を離れて白根御池へ向かいます。すぐに雲の中に入ってしまいました。右俣コースを分けてダケカンバ帯に入ると、マルバダケブキの花が咲き誇っていました。ダケカンバの林を抜けると草スベりとなり、眼下に白根御池が見えてきました。写真を撮りながらかなりゆっくりと歩いたつもりでしたが、意外にあっさり白根御池に到着。

小屋の前のベンチで昼食休憩。こからしばらくは深い森の水平道を行きます。途中で横切る小沢がなかなか綺麗。尾根の上に出ると、あとは一気に広河原へと下ります。汗だくで登ってくる人に「お疲れさま、頑張ってください」などと声をかけながらぐんぐん標高を下げ、大樺沢コースに合流しました。広河原山荘への最後の下りで、立派なカツラの木を撮影。これまで何度も通っている場所ですが、じっくり撮影するのは初めて。今日は緑がとても美しく感じられ、気分的に余裕があったのか、三脚を立てる気持ちになりました。

広河原山荘でひと休みしてから乗り合いタクシー乗り場へ行くと、ちょうど客待ちの車があり、タイミングよく乗ることができました。芦安の金山沢温泉に寄ってから帰途につきました。

2017年9月18日(月)
北岳再訪(1)

広河原にて


北岳は雲の中(二俣にて)


肩ノ小屋の幕営地

日付が前後しますが、8月の山行第二弾の報告です。

北海道から帰ると、盆休みの週間天気予報はずっと傘マーク。8月13日、14日の2日間だけ傘が無いので、再度北岳へ行くことにしました。今回は大樺沢右俣から登ることにします。

前夜、いつものように芦安の駐車場で車中泊。夜中は雨音がしていましたが、明け方になって雨は上がりました。

8月13日(日)、一番の乗り合いタクシーで広河原へ。広河原山荘のベンチで朝食を食べていると天気が回復し、早川尾根が見えてきました。野呂川には朝霧が漂っています。一気にテンションが高まってきました。

二俣までは大樺沢コースを登ります。今回は順調なペースで標高を稼ぎます。大樺沢の流れの脇を通る所で、水量の多さに驚きました。深い緑の中の白く泡立つ流れを撮影していると、沢の冷気に震え上がりました。二俣から右俣コースへ。北岳は完全に雲の中です。黙々と登って草すべりコースと合流するあたりから雨が落ちてきました。小太郎尾根に出ると雨が上がり、時折薄日が。やはり天気が安定していません。特に撮影するものも無く、一気に肩ノ小屋まで歩き、小屋には正午に到着しました。

テントを張ってから下の水場まで往復。水はチョロチョロとしか出ていませんが、体を拭いてさっぱりしました。テントに戻ってからは、ビールを飲んでのんびり昼寝。夕方になって一瞬頭上に青空が広がり期待が高まりましたが、それでおしまい。夕食を食べた後で何度かカメラを持ってテントを出ましたが、シャッターチャンスは訪れませんでした。日が暮れると再び雨が降り始めました。

2017年9月16日(土)
山と溪谷10月号
発売中の雑誌「山と溪谷」10月号の巻頭グラフに、私の北岳の作品が6ページにわたって掲載されました。

10月号の特集は「日本アルプス紅葉大全」、そして第2特集が「北の山の紅葉便り」。
紅葉を楽しむコースの案内と美しい写真が満載です。ぜひご覧ください。
2017年9月8日(金)
日高・カムイエクウチカウシ山(7)

青い池


拓真館の庭で

8月9日(水)、北海道最終日です。5時に起きて手早く朝食を済ませ、青い池を見に行きました。さすがに観光客が押し寄せる前で、静寂そのもの。曇り空ながら青い池に枯木が林立する美しい光景をゆっくり堪能することができました。

キャンプ場に戻ってテントを撤収して出発。開館時間前の拓真館に寄って庭を散策した後、山部にある富良野市博物館へ。田中博さんの写真展「シマフクロウの聲がきこえる」を見学。今や激減してしまったシマフクロウの見事な作品に圧倒されました。他に昭和の文化を振り返る展示や、地元の発展や自然に関する展示がなかなか興味深いものでした。

15時の飛行機に乗るために千歳空港へ向かいます。占冠を通り、日高峠を越えて樹海ロードを走り、新夕張の道の駅「夕張メロード」で休憩。ここで夕張メロンを購入。あとは空港へ向かってひた走ります。北海道に居る間晴天が続きましたが、ついに雨が落ちてきました。絶妙のタイミングです。昼過ぎに空港に到着。空港ビルの大混雑のラーメン屋で昼食を食べてから、Tさんと別れました。Tさんは今夜苫小牧からフェリーです。

飛行機であっという間に羽田へ帰ってきました。ムッとする空気に、一気に現実世界に引き戻されたような気分。夢のような1週間が終わりました。

2017年9月7日(木)
日高・カムイエクウチカウシ山(6)

タウシュベツ川橋梁


三国峠の樹海

8月8日(火)、ゴーッという音で目が覚めました。テントのジッパーを開けて外を見ると、階段の上の広場から熱気球が離陸するところでした。次々に飛び立つ気球をしばらく見学してから朝食を食べ、テントを撤収。

目的の登山を完遂したので、あとは帰りの飛行機まで時間つぶしの旅を楽しみます。今日は層雲峡までドライブし、市根井孝悦さんの写真館を見ることにしました。曇り空の下走り出しましたが、次第に青空が広がってきました。途中、糠平湖のタウシュベツ橋梁展望台に立ち寄り、旧国鉄士幌線のタウシュベツ川橋梁を見学。浸食が進み今や崩壊しそうなめがね橋を列車が走っていた当時に思いをはせました。三国峠で広大な樹海を見下ろし、層雲峡では流星の滝と銀河の滝を見学。ここでは中国人観光客の多さに驚きました。温泉街の食堂で豚丼を食べてから、大雪山写真ミュージアムへ。市根井さんは山に出かけて不在でしたが、雄大な四季の大雪山の作品を満喫しました。

旭川で食料を買って、美瑛から今日泊まる予定の白金温泉へ向かいます。山へ近づくにつれてどんよりと曇ってしまいました。途中にある、今や有名観光地となった青い池に立ち寄ろうとしましたが、夕方にも関わらず駐車場が大混雑していたため、明日の早朝に出直すことにしてキャンプ場へ直行しました。

白金野営場も、やはり芝生が気持ちの良いキャンプ場です。いつしか青空が顔を出し、雲が赤く染まりました。今日は1日涼しく全く汗をかかなかったので、温泉は省略し、早速宴会となりました。

2017年9月6日(水)
日高・カムイエクウチカウシ山(5)

今夜のつまみ。痛まないように塩して大切に持ち帰ります


札内川を下る

8月7日(月)、すっかり明るくなってから起きました。今日も晴天。時間に余裕があるので、午前中に釣りをしてから下ろうという話になりました。朝食を食べ、テントを撤収してから、釣り道具だけを持って八ノ沢へ。小さな型はリリースしながら2時間釣りを楽しみ、二人で6尾をつり上げました。幕営地に引き返すと、ちょうどそこへ夫婦二人連れが到着。今晩コンロで6匹の魚を焼くのは大変なので、2匹を差し上げたところ、とても喜んでもらえました。

幕営地を後に、札内川をジャブジャブと下ります。水量は少なく、どこを歩こうと自由自在です。途中で1回休憩を入れ、2時間ほどで七の沢出合の林道に着きました。靴を履きかえ、あとはゲートまでのんびりと林道を歩きました。

車に荷物を放り込み、まずは魚のための氷を求めて札内のスーパーへ。その後、幕別温泉の健康ランド華の湯に寄って4日分の汗を洗い流し、ようやく人心地がつきました。帯広のスーパーで魚焼き網と夕食を買ってから、上士幌航空公園キャンプ場へと向かいました。

上士幌にはすっかり暗くなってから到着。芝生の快適なキャンプ場にテントを張り、オショロコマをコンロで焼きながら、山行の打ち上げとなりました。

2017年9月5日(火)
日高・カムイエクウチカウシ山(4)

八ノ沢カールの朝


カムエクへ向かう


山頂にて


八ノ沢出合で

夏山報告の続きです。

8月6日(日)は明るくなって目が覚めました。テントのジッパーを開けると一番美しい時間帯でした。Tさんを起こし、カメラを持ってテントから出ます。下は一面雲海となっており、上空の雲が綺麗に色づいています。やがて太陽が昇り、カールがオレンジ色に色づきました。一通りの撮影を終え、熊が居ないかとカール壁に目をこらしたところ、一面の緑の中に黒い点がもぞもぞと動いており、びっくり。上方へ移動しながら食事中のようです。ここからは十分な距離があるので危険は無く、しばらく観察するうちに陰になった谷間の方へ姿を消しました。

朝食を食べてからカムエクをピストンします。稜線の道は所々でハイマツが被っていますが、昨日のピラミッド側よりはるかに歩きやすい道です。右の八ノ沢カール側は絶壁になっており、道は稜線の左側につけられています。山頂の少し手前は、トカチフウロとエゾツツジが咲くお花畑になっていました。

山頂では日高の山々が一望の下。何となく見当がついたのは幌尻岳と1839メートル峰くらいで、ほとんどが私にとっては未知の山々です。入山3日目。山をじっくり味わいながら登り着いた頂上は感慨深いものがありました。いつまでも長居したい気持ちですが、今日中に札内川まで下らなければならないので、記念写真を撮って山頂を後にしました。

鋭く尖ったピラミッドを正面に鞍部へ戻ります。途中で今日八ノ沢出合から日帰りピストンという登山者とすれ違いました。鞍部からカールへの下り口を間違え古い道に入ってしまいましたが、至る所の熊の掘り返しと糞があるのに驚きました。途中で引き返して稜線に登り返すと、ほんの少し先に正しい下り口がありました。

テントの戻り撤収にとりかかりましたが、二人とも脱水気味でふらふらの状態。とりあえず水場へ移動し、たっぷり水分を補給してから昼食にしました。体調が落ち着いたところで、三股への悪場を慎重に下ります。疲れた体にはやや重すぎるザックに相当緊張しましたが、要所にはロープが設置されており、持参したロープを使わずに下ることができました。
三股でほっと一息つき、少し下った所で今晩のおかずを釣ることに。2時間ほどで11尾を釣り上げました。疲れた足で八ノ沢出合までがとても遠く感じられました。

日没前に八ノ沢出合に着き、すぐにテントを設営して焚き火の準備。食事を始められたのはすっかり暗くなってからでしたが、明日は札内川を下るだけなので、遅くまでTさんと語り合いました。

2017年9月4日(月)
全日本山岳写真展が始まります


いよいよ明日から全日本山岳写真展が始まります。

 今日は、時間を取れる会員が集まり、1日がかりで会場を設営しました。

 会の70周年にあたる今年は、9日(土)に山岳写真セミナーを開催します。私も午後1時から「丹沢の四季を写す」というテーマで話をさせていただきます。定員100名ですが、どれほど混雑するのか、空いているのか、全く予想がつきません。1時間前から整理券を配りますので、ご興味のある方はぜひいらしてください。

 全日本山岳写真協会
http://sangakusyashin.art.coocan.jp/

2017年9月4日(月)
日高・カムイエクウチカウシ山(3)

三股下に咲くウコンウツギ


八ノ沢カールは別天地


ピラミッド側から見るカムイエクウチカウシ山

8月5日(土)、4時半起床。朝食を食べて準備をしているうちに雨が降り始めました。天気予報によれば雨は朝のうちとのことなので、予定通り出発することに。

八ノ沢を少し上ると、正面に雨に煙るカムエクが姿を現しました。時々左岸の踏み跡に入りますが、ほぼ沢の中を歩きます。やがて雪渓を見るようになりました。三股まで来ると崩壊した雪渓が大迫力です。ウコンウツギの花が沢山咲いていました。一旦右岸へ渡り、崩壊した雪渓の上流で左岸に渡り返します。ツルツルのスラブを登って、中央の滝の右側につけられた急な上りに取りかかりました。笹と灌木が多く被さりザックが引っかかるのが鬱陶しい。ルートは支沢を登っては左へトラバースというパターンを繰り返しながら、本流から離れないように高度を上げてゆきます。数カ所、外傾した岩場をロープを頼りにトラバースする部分があり、ザックが重たいので少々怖い思いをしました。いつしか天気が回復し、日も差してきました。最後は本流沿いの急登となり、水が湧き出す源流を過ぎるとカールに飛び出しました。水音がなくなると本当に静かです。念のため周囲を見渡しましたが、熊の姿は見えません。平坦な道を数分で幕営地に到着。早速テントを張りましたが、ふと気がつくとすぐ脇に熊の古い糞が落ちていました。

岩の上に濡れものを広げて乾かしながら昼食を食べ、一息ついたところでカムイビランジを探しにピラミッドへ向かいます。お花畑の中を登って稜線に出ると、カムエクとは反対側へ踏み跡をたどります。すぐにハイマツの藪になりました。足元には踏み跡が続いていますが、胸の高さの枝が手強く行く手をふさぎます。稜線は痩せており、ピラミッドの上りは傾斜が強く次々に岩場も現れます。この岩場にカムイビランジが咲くそうですが、花期が終わってしまったようで花を見つけられないままピラミッドの頂上に着いてしまいました。Tさんはとても残念そうです。

一休みしてから引き返します。慎重に岩場を下り、鞍部を目指します。カムエクへ続く稜線にかかる雲が迫力満点です。ハイマツの藪を抜けてほっとしたところで鞍部に到着。ズボンと手がハイマツのヤニだらけになってしまいました。あとはのんびりとカールに下るだけ。

テントをより平坦で熊の糞が無い快適な場所に移し、残り少ない焼酎で乾杯しました。

2017年9月3日(日)
日高・カムイエクウチカウシ山(2)

札内川を遡る


八ノ沢出合の幕営地

8月4日(金)、夜中にトイレに行ったら、テントの場所がわからなくなるほどの濃い霧でしたが、夜が明けると次第に雲が切れて青空が広がってきました。手早く朝食を済ませ、テントを畳んで登山口の札内川ヒュッテ前のゲートへ向かいました。

歩き出す頃にはすっかり晴れ上がりました。トンネルを二つ抜けた所で舗装道路は終わり、砂利の林道になりました。日差しが強いですが、木陰が多いのが助かります。エゾハルゼミの声がにぎやかです。建設が凍結された日高横断道路の残骸の不釣り合いに立派な橋梁などの建造物が時折現れます。2ピッチで林道の終点、七ノ沢出合に到着しました。ここで沢靴に履き換え、札内川の中を遡ります。水量は少なく徒渉は全く問題ありません。何度も渡り返し、森の中の踏み跡を拾いながら順調に進み、八ノ沢に入って少し登った所に幕営地がありました。我々のほかにテントが4張りほど。

テントを張り、薪を集めてから札内川本流へ釣りに出かけます。サイズは小ぶりだがよく釣れます。二人でオショロコマ7尾とカジカ2尾を釣り上げました。

テントへ戻り、焚き火で魚を焼きながら焼酎で乾杯。夕方になって曇ってしまいましたが、風のない静かな夜です。

2017年9月2日(土)
日高・カムイエクウチカウシ山(1)

札内川園地キャンプ場(翌朝)

すっかり遅くなってしまいましたが、夏山の報告です。
日高にしか咲かない花、カムイビランジを探したいというTさんに誘われ、カムイエクウチカウシ山を登ることになりました。私はカムエクは3回目です。

8月3日(木)、羽田8時15分発のAIR DOで千歳へ。1週間前からフェリーで北海道入りしていたTさんと現地で合流。曇り空の下、日高、浦河経由で中札内を目指します。途中のスーパーで山の食料と今日の昼食の弁当を買い、昨年の豪雨被害で不通になっている日高本線の厚賀駅の待合室で昼食を食べました。浦河からの天馬街道は深い霧に包まれていました。明日から3日間風呂に入れないので、忠類ナウマン温泉に立ち寄ってさっぱりしてから、日高山脈山岳センターのキャンプ場へ。

山岳センターで山の情報収集をしてからテントを張りました。広々とした気持ちのよいキャンプ場です。入山祝いの乾杯をして、楽しく夜が更けていきました。

2017年7月24日(月)
キタダケソウに逢いに(2)

花と仙丈ヶ岳


ライチョウの家族


咲き始めのキタダケソウ

9日(日)は10時間以上寝て3時に目が覚めました。幸い体調は大分良くなったようで、空腹感を覚えたので、昨晩の予定だったカレーを食べました。

空が白み始めたのでカメラを持ってテントを出ます。中白峰へ向かい2910メートルのピークに三脚を立てました。北岳の上空がピンク色に染まり、やがて仙丈ヶ岳の雲も色づき、八本歯ノ頭から太陽が昇りました。中白峰がオレンジ色に染まります。朝のドラマが一段落したところで三脚を畳み、中白峰へと向かいます。中白峰の山頂一帯は様々な花が咲いていました。どの花も咲いたばかりといった感じで、8月とは鮮度が違います。アップにも耐える美しい花ばかりで、マクロレンズの出番が沢山ありました。花のアップや背景に山を入れて撮影を楽しみながらテントへ戻りました。

2回目の朝食にラーメンを食べてからテントを撤収。今回は北岳頂上へは行かず、昨日来た道を戻ることにします。トラバース道へ向かってお花畑の中を登ってゆくと、二人の若者が大きな箱からシートを外しているところでした。何かと思ったら、ライチョウを天敵から保護しているとのこと。これからライチョウの家族に付き添って北岳山荘近くのケージへ移動するそうです。「見ますか」と言われたのでじっくり見せてもらうことにしました。指示された岩の上でカメラを構えていると、ケージから雌のライチョウと雛5羽が出てきました。本当に可愛らしい光景です。北岳周辺では3家族が確認されており、この家族は数日前に見つけたそうです。ライチョウを驚かさないように、つかず離れずうまく誘導してゆきました。こうやって1日中付き添うそうで、好きなこととはいえ、本当にご苦労さまです。ライチョウの後はトラバース道でじっくり花を観察。キタダケソウも改めて心ゆくまで撮影しました。

十分満足し、山を下りることにします。八本歯のコルで休憩してから、岩稜の梯子を慎重に下ります。雪渓に出ると雪が十分緩んでいたので、アイゼンなしで下ることにしました。1歩で1歩半進む勢いで下り、あっという間に雪渓の末端まで下ってしまいました。さすがに足がヨレヨレです。広河原までの登山道は転倒に気をつけながらゆっくり慎重に歩きました。

広河原ではタイミング良く相乗りタクシーに乗ることができました。芦安で金山沢温泉に入ってさっぱりしてから帰途につきました。

2017年7月23日(日)
キタダケソウに逢いに(1)

広河原からの北岳


二俣上部から見上げるバットレス


キタダケソウ


こんなに沢山!

広河原への林道が開通するとキタダケソウの季節です。7月8日~9日は晴れの予報となったので、キタダケソウにはちょっと遅いかと思いましたが、行ってみることにしました。

前夜のうちに芦安の駐車場まで入って車中泊し、8日(土)の朝、乗り合いタクシーで広河原へ。林道から見上げる白峰三山はまだ残雪が多く、ひょっとするとキタダケソウを見られるかもしれません。

広河原山荘で水を汲んでスタート。木漏れ日が降り注ぐ森の中を登ってゆきます。ハルゼミが賑やかです。いつもは15分ほど歩くうちに自然にペースが上がってくるのですが、今回は体が重く感じられ、他の登山者に次々と追い抜かれるばかり。今日は1500メートル近い標高差を登らなければならないので焦りは禁物、ゆっくりと歩くことにしました。大樺沢を2回渡りカツラのトンネルを抜けると、雪渓の末端に出ました。今年は雪渓がかなり大きく感じられます。大勢の登山者の列に加わりキックステップで登ります。青空にバットレスの大岩壁が聳え、その下の新緑が鮮やかです。雪渓は次第に傾斜を増し、とにかく息が上がらないようにゆっくりペースで歩き続けました。雪渓を離れて最後の岩稜に取り付きます。連続する梯子が本当にきつい。

突然、前を行くパーティーの女性が一段上から滑落するのが見えました。一瞬最悪の事態を確信しましたが、なんと足を下にした体勢のままずり落ち、岩に当たることもなく、ちょうど登山道がある所に着地しました。仲間が驚いて叫び声を上げて駆けつけてきましたが、本人は怪我もなく、事の重大性が分かっていない様子です。本当に幸運でした。やれやれ。

八本歯のコルで一息入れます。いつしかガスが湧き、主稜線は見えなくなっていました。トラバース道の入口まで今日最後のひと登り。トラバース道に入ると、可憐な花たちが迎えてくれました。キタダケソウの群生地には既にハクサンイチゲが咲いていましたが、その中にチラホラと咲き終わりのキタダケソウが残っていました。桟道を通って南西向きの斜面に回り込んでゆくと、あった!キタダケソウの群生です。この時期にこれほど残っていたのは驚きです。やはり雪解けが遅かったのでしょう。よく見ると下の斜面にも沢山咲いていました。夢中で撮影しましたが、中腰になって息を止めて撮っているうちに、頭が痛くなりどうも体調が怪しくなってきました。北岳山荘へ向かいます。もう下るだけですがフラフラになってしまい、写真を撮る意欲も消えてしまいました。なんとかたどり着いた山荘は西側半分がまだ雪に囲まれていました。

受付をしてテントを張ると、もう何もする気になれません。ビールどころか食欲も全く無く、そのままシュラフに入って寝てしまいました。

2017年7月6日(木)
全日本山岳写真協会創立70周年記念撮影会(2)

ダケカンバの芽吹き


ミツバオウレンとコイワカガミ
6月18日(日)、まだ暗い午前4時にヒュッテの玄関前に集合しました。予報通りの曇り空ですが、とりあえず自然園に向かいます。次第に明るくなり、東の空がピンクに染まってきました。池塘も空の色を映しています。気がつくと白馬岳にもほんのりと色が差したように感じられたので、大慌てで山がよく見えるポジションへ移動し三脚を立てました。カメラをセットするのと同時に山が真っ赤に染まり、興奮してシャッターを押しましたが、クライマックスは1分足らず。一瞬でドラマは終わり、元の曇り空に戻ってしまいました。その後は、食事の時間まで霧に見え隠れする新緑の木々やミズバショウの群落を撮影して過ごしました。

朝食を食べ、玄関前で全員で記念撮影をしてから解散。バス組は午前中一杯時間があるので、花が多いというヤセ尾根コースに数人で向かいました。ほとんど雪の上を歩いて浮島湿原へ。ここから南へ回り込んで尾根を目指します。途中でトレースが消えてしまいましたが、方向を定めて進むうちに、モウセン池から来ているトレースに合流しました。尾根の上と南斜面はすっかり雪が消え、シラネアオイが咲いていました。木の階段を登ってゆくと、足元にはコイワカガミ、ミツバオウレン、コミヤマカタバミ等の可憐な花が沢山咲いています。展望台まで上がるとムラサキヤシオツツジのピンクが目に鮮やかでした。山の撮影には向かない曇り空ですが、花を撮るには光が回ってちょうど良い感じで、マクロレンズが大活躍。十分満足してヒュッテへと引き返しました。

ヒュッテの前で腹ごしらえをして、ロープウェイとゴンドラを乗り継いで下山。麓の駐車場で他のメンバーと合流してバスで帰途につきました。中央道での渋滞はいつもの通り。7時間以上かかって19時40分に雨の新宿に到着、解散となりました。
2017年7月2日(日)
全日本山岳写真協会創立70周年記念撮影会(1)

まだほとんど雪で覆われていました


2Lサイズフォトコンテスト


天の川

順序が逆になりましたが、6月17日(土)から1泊2日で栂池自然園へ実施された全日本山岳写真協会創立70周年記念撮影会の報告です。

私を含むバス組の16名は、土曜の朝に新宿に集合。マイクロバスで現地を目指します。小仏トンネルまで若干の渋滞はありましたが、そこから先はいたって順調。梅雨時とは思えない素晴らしい晴天となり、車窓からの中部山岳の眺めを満喫しました。12時40分には栂池スキー場の駐車場に到着。現地参加のメンバーと合流し、ケーブルとロープウェイを乗り継ぎ、栂池ヒュッテで今回の参加者36名全員が集合しました。

部屋に荷物を置いて早速自然園へ撮影に出かけました。今年は残雪が多く、一部でやっと水芭蕉が咲き始めたところ。咲いてから雪か霜にやられたようで、どの花も包の縁が黒ずんでおり、綺麗な花が全くありません。ミズバショウのアップは諦めて、雪解けの山全体の雰囲気を写すことにしました。ちょうど今週末に木々の芽吹きがここまで上がってきた感じです。午後の逆光を受けて若葉が輝いていました。その向こうにはたっぷり残雪を纏った小蓮華岳から白馬岳への稜線。太陽が山の向こうに隠れるまで撮影を楽しんで、ヒュッテに戻りました。

風呂の後、美味しい夕食をいただき、ほろ酔いになったろころで今回のイベントの2Lサイズフォトコンテスト。今回はどんな写真でもOKというルールだったため、普段見ることの無い面白い作品が並び、全員で投票して順位を決めました。

消灯時間を過ぎてから星の撮影のために再び自然園へ。いつの間にか雲が広がり星が見えませんでしたが、粘るうちに少しずつ雲が切れ始め、やがて満天の星空となりました。天の川もはっきり見ることができ、23時過ぎにすっかり冷え切ってヒュッテに戻りました。

2017年6月26日(月)
山岳写真同人四季 創立50周年



日頃親しく交流させていただいている山岳写真同人四季の写真展「八ヶ岳」がヒルトピアアートスクエアで7月4日(火)まで開催されています。
四季は今年創立50周年をむかえ、記念行事として会員一丸となって八ヶ岳の撮影に取り組んだとのことで、八ヶ岳の急峻な岩稜と北八ヶ岳の苔むす森と池沼、花咲く夏から凍てつく厳冬の山稜まで、八ヶ岳の魅力が余すところなく表現された素晴らしい写真展でした。(株)日本写真企画から写真集「八ヶ岳」が同時出版されています。

25日(日)にヒルトン東京で開催された記念パーティーにも出席しました。出版社、カメラメーカー、山小屋の関係者と大勢のプロアマ写真家が一堂に会し、四季の50周年を盛大に祝い、親交を深めました。四季の皆さんに加え、全日本山岳写真協会、日本山岳写真協会、閑良屋会、山岳写真ASA、山岳写真同人「峰」など主な山岳写真団体メンバーがこれだけ揃うことは滅多に無いことです。この日のために制作された本格的なビデオも上映され、大いに盛り上がりました。毎度のことながら四季の組織力、実行力に関心させられ、刺激を受けた一日でした。

2017年6月7日(水)
シャクナゲ満開の十文字峠

乙女の森


ちょうど見頃でした

ネットで今年はシャクナゲの当たり年との情報を得たので、日帰りで十文字峠へ行くことにしました。

6月4日(日)、早朝3時半に自宅を出発。中央道を須玉ICで下り、信州峠を越えて毛木平まで入りました。7時前に到着しましたが、駐車場は満杯だったため、林道の路肩に駐車しました。山はさぞかし混雑していることだろうと少々気が重くなりました。

天気は実に爽やかで、森に入るとひんやりとした空気が心地よく感じられます。樹間に差し込む光に、足元の苔が光っています。立派な橋で千曲川を渡ると登山道は上るようになりますが、昔からの峠道は歩きやすく整備されています。日帰りの軽いザックにペースは快調、ぐんぐん標高を上げてゆきます。標高2000メートルまで登ると緩やかな下りに転じ、まもなく十文字峠に到着しました。まだ9時前です。

小屋の前のシャクナゲはまさに花盛り。2、3枚シャッターを押してから、すぐにシャクナゲ群生地の乙女の森へと向かいます。乙女の森は木が身長よりも高く、用意されたお立ち台に上がらなければ花がよく見えませんが、心配した混雑はなく、数人の登山者と場所を譲り合いながら、ゆっくりと花を観賞し撮影することができました。続いてかもしか展望台へ向かいます。あちらこちらにシャクナゲが咲く森の中を10分ほどで眺めのよい岩の上に出ました。三宝山と川上村方面が眺められ、ここでゆっくりしようかと思いましたが、意外に冷たい風に震え上がり、写真だけ撮ってから峠の小屋へ引き返しました。ベンチでおにぎりを食べていると、小屋のおじさんが常連と思われる登山者と大きな声で楽しそうに盛り上がっていました。1年で一番明るい週末なのかもしれません。

すっかり長居してしまいましたが、まだ昼前です。十分満足して十文字峠を後にしました。足取りは軽く、1時間かからずに毛木平まで下ってしまいました。

2017年6月5日(月)
会津の山に新緑を求めて(2)

穏やかな朝


会津駒ヶ岳からの三岩岳

21日(日)は2時半に起床。満天の星空に三日月が出ています。+10度ととても暖かく、雪面は全く堅くなっていません。会津駒の上にかかる天の川を撮影しているうちに東の空が白んできました。刻々と変化する色を追ってシャッターを切りました。日の出を撮影してから朝食を食べ、テントを撤収。

まずは大戸沢岳を目指します。隣の2057メートルのピークで今日最初の登山者とすれ違い、あとははっきりした足跡を辿ります。なだらかで広い稜線ですが、左側は雪庇の跡が不安定な状態になっており、所々にクラックもあるため、なるべく右の樹林に沿って進みます。最低鞍部で一息入れて、大戸沢岳の登りにかかります。遠目に見た感じよりは短い登りでした。だだっ広い大戸沢岳の頂上は休まずに通過。ここから先は、何度かスキーで来たことのあるコースです。次のピークは右を巻いてショートカットします。巻く途中では一部で雪が消えて湿原が顔を出していました。稜線に戻ると燧ヶ岳が姿を現しました。ひと登りで会津駒ヶ岳に到着。人気の山だけあって数パーティーの登山者が居ました。残雪豊かな山々の眺めを満喫し、山頂を後にしました。駒の小屋には寄らずに下の斜面をトラバースしてショートカットし、すっかり緩んだ雪の上を大股で一気に下ってゆきます。白一色の世界から、再びブナの新緑が鮮やかな世界へドラマチックに変化する景観を味わううちに、足元の雪が無くなり、一気に真夏のような熱気の中となりました。最後の林道歩きはむせかえるほどの一面の新緑の中を、汗だくになってアルザ尾瀬の里を目指しました。

車にザックを放り込んで温泉に直行。達成感も手伝って、最高の露天風呂でした。

2017年6月3日(土)
会津の山に新緑を求めて(1)

イワウチワ


新緑のブナと三岩岳


三岩岳より会津駒ヶ岳への稜線

以前から一度歩いてみたかった三岩岳から会津駒ヶ岳の縦走を計画しました。稜線は湿原になっており、残雪期しか歩くことはできません。

5月19日(金)の晩に車で自宅を出発。今回は下山口に車を置き、早朝のバスで登山口へ移動する計画です。バスに乗り遅れないよう、車中泊は途中ではなく桧枝岐まで頑張りました。深夜1時半にアルザ尾瀬の里の駐車場に到着し、すぐに寝ました。

20日(土)は5時に起床。谷間にはまだ日が差していませんが青空が広がっています。朝食とパッキングを急いで済ませ、6時4分のバスで小豆温泉へ移動。バスを降りると、新緑の間を流れる伊南川は雪解け水で増水していました。
黒桧沢コースが崩壊で通行止めになっていたため、車道を400メートルほど歩いた所から国体コースを登ることにしました。雪が消え、落ち葉で滑る急な登山道をぐいぐい登ります。登山道の両側にイワウチワが可憐に咲き、登るにつれてあちらこちらにシャクナゲの花も見られました。木々の間から望む三岩岳は豊富な残雪をまとってまっ白で、とても遠く感じられます。やがてブナ林となり、残雪が現れました。傾斜が緩くなるとまもなく1308メートル峰に到着。残雪と青空にブナの若葉が映え、思い描いていた風景が広がっていました。ゆっくり撮影を楽しんでから、再び傾斜を増した尾根をキックステップで登ります。ここで、会津駒から縦走してきたと思われる数パーティーとすれ違いました。次第に風が強くなってきました。標高1700メートルを超えると尾根は広がり、なだらかになった雪原を登るようになりました。窓明山からの稜線に合流する辺りで避難小屋を発見。雪解けが進み2階の窓からの出入りは出来ず、1階のドアはまだ雪でふさがれており、中を見ることはできませんでした。ここからさらに40分ほどかかって、三岩岳の頂上に到着。山頂だけ雪が消えており、三角点と山名標識がありました。記念写真を撮ってから一つ先の2060メートルのピークまで移動。ここを今日の宿とすることにしました。

あまり風が当たらない樹林の陰の雪面を入念に整地してテントを張り、いつもの通りビールを飲みながら水を作り、そそのまま夕食に。18時頃からテントの周囲で静かな夕景を撮影しました。今の季節は日が長いので、明日の朝も早起きしなければなりません。日没後はすぐにテントに戻り、シュラフに潜り込みました。

2017年5月9日(火)
甲斐駒ヶ岳~仙丈ヶ岳(4)

日が高くなって青空が広がり始めました


林道からの鋸岳

4時起床。昨日の夕方と変わらない雲の多い状況で、三脚を立てて数回シャッターを押したものの、収穫はありませんでした。テントに戻って朝食を食べ、テントを撤収しパッキングまで済ませてから、しばらく山頂でシャッターチャンスを待ちます。早くも二人連れの登山者が登ってきました。聞けば2時に北沢峠から登り始めたとのこと。それから少し間を置いて続々と登ってきました。山頂に留まっている私は、いつしか記念写真係になってしまいました。

すっかり日が高くなり、もはや撮るものもないので、山頂を後にしました。気温が上がり、春山全開といったひたすら明るい雰囲気になってきました。森林限界でピッケルからストックに持ち替え、腐り始めた雪を踏み抜かないようにゆっくりと下りましたが、あっという間に北沢峠まで下ってしまいました。アイゼンを外し、大平山荘からは舗装道路をのんびりと歩きます。入山日には雨で見えませんでしたが、今日は鋸岳と甲斐駒ヶ岳の眺めが素晴らしく、林道歩きも苦になりません。北沢峠から2時間弱で歌宿のバス停に着きました。

バスが出るまで1時間以上ありましたが、休んでいる間に登山者が増えてきたため、臨時で予定よりも早くバスを出してくれました。仙流荘から高遠行きのバスまで3時間もあったため、ゆーっくり温泉に浸かり、ビールを飲み、昼寝をして時間つぶし。
18時3分の高遠行きのバスに乗ったのは、私と若い登山者が一人。彼は静岡から青笹山へ入山し、白峰南嶺から小太郎山を経て歌宿までを7日間で踏破したとのこと。ザックには山中で拾ったという立派な鹿の角がくくりつけられていました。
高遠でバスを乗り換え、伊那市で飯田線に乗り、岡谷でスーパーあずさに乗り換えましたが、どこも店が閉まっており、なかなか夕食にありつけません。結局、スーパーあずさの車内販売で21時前にやっと夕食となりました。
2017年5月8日(月)
甲斐駒ヶ岳~仙丈ヶ岳(3)

森がごっそり無くなっていました


雷鳥のつがい


日没後、空が色づき始めました

3日(水)、4時起床。気温0度。今日は仙丈ヶ岳への移動日。晴れてはいますが薄雲がかかっており、何となく冴えない天気です。テントを撤収する際、凍り付いたペグを掘り出すのにかなり時間がかかってしまいました。

北沢峠へ登り返さずに直接二合目へ出る近道を行きます。二合目で尾根の上に乗り、ここからは急登が続きます。昨日の疲れが残っており、久々の重荷ということもあり、意識してゆっくり歩きます。途中で藪沢側を見下ろすと、対岸の山腹の森がごっそり無くなっていました。おそらく数十年あるいは数百年に1回の大雪崩だったのでしょう。昨日の甲斐駒からは、北沢側の斜面でも同じような状況が見えていたので、この冬の積雪が例年とはちょっと違う状態だったのかもしれません。登山者が昨日より格段に多く、どんどん抜かれます。森林限界を抜け、小仙丈岳の少し下の小平地で景色を眺めながら昼食タイム。さらに一頑張りして小仙丈岳で休んでいると、数人のスノーボーダーが上がってきました。やはり、バックカントリーブームだということを実感。仙丈ヶ岳への稜線で雷鳥のつがいと出合いました。全く逃げる様子が無く、道のすぐ横で悠然と何をついばんだり雪浴びをしており、存分に写真を撮ることができました。14時前に仙丈ヶ岳山頂に到着。

山頂の一段下を整地してテントを張りました。水を作ってから夕方の撮影のために、山頂に三脚を立てましたが、雲が多く撮影には厳しい条件でした。御嶽山の辺りだけ雲が切れており、夕日に期待して待機します。雲の切れ間に太陽が下りてきましたが、残念ながらそこにも薄い雲があり太陽を見ることができませんでした。日没後の夕焼けに期待してさらに粘ったところ、期待を上回る素晴らしい夕焼けとなりました。これだけで、山頂にテントを担ぎ上げた甲斐がありました。
満足してテントに入り、暖かい夕食を食べて20時半にシュラフに入りました。

2017年5月7日(日)
甲斐駒ヶ岳~仙丈ヶ岳(2)

駒津峰への上りからの甲斐駒ヶ岳


甲斐駒ヶ岳からの観音岳と富士山


仙水峠から振り返る
2日(火)は2時半に起床。気温マイナス5度。満天の星空です。今日は甲斐駒ヶ岳を往復します。

朝食をかき込んで、アタック装備で出発。雪が堅く凍っているので、初めからアイゼンを着けました。甲斐駒を撮影するために、まずは栗沢山の森林限界を目指します。仙水峠の手前で仙丈ヶ岳が赤く染まりましたが、雲一つなく写真になりません。仙水峠で右に折れ、栗沢山方向へ。古いトレースを辿って30分ほどで森林限界。甲斐駒は逆光で陰が多くなりますが、足元の雪庇の残骸をモチーフにして数カット撮影しました。栗沢山まで行きたいところでしたが、今回の目的は甲斐駒なので、ここで引き返します。仙水峠まで下り、今度は駒津峰へ登り返します。ゆっくりペースでなんとか1ピッチで登り切りました。駒津峰では目の前に甲斐駒が立ちはだかっています。積雪期ルートである岩稜の直登を行くか、夏道のトラバースルートをゆくか思案しますが、岩稜はちょっと厳しそうです。ナイフリッジのアップダウンをいくつか越えると最低鞍部の六方石です。先行者がトラバースルートにトレースをつけてくれたので、感謝しつつそちらを行くことにしました。雪は適度に緩んでいましたが、万一スリップすれば止められない傾斜なので、慎重に足を運びます。長いトラバースに心身共にかなり疲れを感じました。山頂直下の登りでは体が重く、軽い頭痛がしてきました。ひょっとして高山病?と思いつつ、なんとか登り切りました。

山頂では素晴らしい展望が広がっていました、南北中央アルプスや八ヶ岳はもちろん、妙高や白山までもがくっきりと見えていました。ここまで大気が澄み渡っているのは珍しいことです。日が高く写真になりませんが、それでもシャッターを押さずにはいられませんでした。

後続パーティーと入れ替わりで山頂を後にします。トラバースを慎重に通過し、六方石から駒津峰までのろのろと戻り、駒津峰で無理矢理パンを押し込みました。ピッケルをストックに替えて仙水峠へ下り、安全地帯に戻ったところでアイゼンも外しました。仙水峠では最後の水を飲みきってしまい、仙水小屋に水場で美味しい水をたらふく飲みました。

ふらふらでテントに帰り着くと、ザックを放り込んでそのまま自分も横になってしまいました。小1時間ほどうたた寝をしたら、幸い気分が快復してきました。今日はアルコールはやめて大量に水分を補給しました。夕方には食欲も出てきました。明日はなんとかなりそうです。
2017年5月6日(土)
甲斐駒ヶ岳~仙丈ヶ岳(1)

山麓の新緑(仙流荘にて)


上の方では雪になったようです(北沢峠にて)

GWはがっつり撮影したいと思い、久しぶりに南アルプスを計画しました。

5月1日(月)、今回は八王子始発の普通列車を利用します。車窓には新緑萌える山が広がっていました。甲府盆地を過ぎると天気予報通り次第に雲が多くなり、小淵沢を過ぎる辺りから雨が降り始めました。岡谷で飯田線に乗り換え、伊那市で下車。ここからJRバスで高遠に入り、さらに長谷循環バスに乗り換えて、昼前にようやく南アルプスバス乗り場がある仙流荘に着きました。マイカーと比べると本当に長い旅でした。

雨具を着て、ザックカバーを着けて、雨支度を整えてから南アルプスバスに乗り込みます。30分ほどでこの季節の終点、歌宿に到着です。雨の中を歩くのは久しぶり。今日の雨は想定内なので、淡々と足を運びます。やがて道の両側に雪が出てきました。車道は完全に除雪されていましたが、平右衛門谷で大きな雪崩があったようで、デブリの上を横断しました。藪沢でも大雪崩があったようで、大量の根こそぎにされた樹木で沢が埋め尽くされていました。藪沢を過ぎた頃に雨が上がり、西の空に青空も覗き始めました。予報よりも天気の回復が早いようです。大平小屋から北沢峠までは林道をショートカットして雪の登山道を歩きます。北沢峠から山梨県側へ林道を少し下ると長衛荘のキャンプ場に到着。

受付を済ませ、北沢の流れに近い場所に決め、入念に聖地してからテントを張りました。テントに入るとさっそくホットウィスキーで暖まります。夕食を食べ終わり、日暮れの時間になって一気に雲が消えて晴れ上がりました。三日月も出ています。天気予報によれば明日からは晴天が期待できそうです。

2017年5月1日(月)
栂池周辺&火打山 山スキー(2)

富士見平からの焼山と火打山


焼山北面台地は雲の下でした


今回の仲間(火打山にて)


北アルプスを背景に滑る

翌23日(日)は妙高に移動するために3時に起床。車をとばして5時に妙高高原駅でNさん、Hさんと合流しました。今日は5人で火打山に登り、笹倉温泉へ下る計画です。車2台を駅に残し、3台に分乗して笹ヶ峰の駐車場まで入りました。

朝から雲一つない素晴らしい天気です。6時40分にスタート。ブナ林の中を1ピッチで黒沢に出ました。沢の中を登り標高1900メートル地点で沢を離れて富士見平へと登ってゆきます。次第に展望が開け、高妻山と北アルプスがせり上がってきました。富士見平に着くと、眼前に純白の火打山と焼山が姿を現しました。高谷池ヒュッテの可愛い三角屋根も見えています。黒沢岳をトラバースして高谷池ヒュッテでひと休み。風が少し冷たいですが、降り注ぐ陽光に春山気分満点です。高谷池を横切り、天狗の庭から最後の登りです。登るにつれて風が強くなってきました。肩まで来ると初めて稜線の北側が見えましたが、意外にも一面の雲海となっていました。最後の急斜面を慎重にシールを効かせて登り切り、12時50分に大展望の火打山に到着しました。

これから滑り込む予定の焼山北面台地は雲海の下になっていました。雲の切れ間に昼闇山が見えていますが、台地で霧に巻かれると厄介なことになりそうです。加えて北斜面はこの時間になっても堅くクラストしているため、今回は計画を変更して南面を滑って笹ヶ峰に戻ることにしました。360度の大展望を満喫しながら滑降の準備をします。

まず影火打のコルまで滑り、つぼ足で影火打へ登り返します。ここから、Kさんを先頭に南の尾根に滑り込みました。なかなかの急斜面ですが、思い切って飛び込むと快適なザラメ雪に気分は最高。北アルプスをバックに写真を撮り合いながら、今シーズン一番の滑りを楽しみました。下の方からエンジン音が聞こえてくると思ったら、4台のスノーモビルが嘉平治岳の急斜面を直登して遊んでいました。ここはスノーモビル乗り入れ禁止区域のはずですが、この後は火打山の我々が滑った斜面まで乗り入れて荒らし回っていました。惣兵落谷に滑り込み、鍋倉谷に合流した所で左岸台地に上がりました。ブナ林の中をのんびり滑って林道に出ました。ここから笹ヶ峰の駐車場までは約3キロの林道歩き。部分的に緩やかな上りがあり、しばらくシールなしで頑張りましたが、半分ほどのところでたまらずシールを貼りました。16時40分に駐車場に到着。笹倉温泉に抜けられなかったのがちょっと残念でしたが、とても充実した1日でした。

皆で妙高高原ふれあい会館の温泉に入ってから解散。疲れていましたが慎重に運転して深夜0時に帰宅しました。

2017年4月30日(日)
栂池周辺&火打山 山スキー(1)

雄大な風景の中を登る


栂池自然園への最後の斜面を滑るKさん
今シーズン5回目の山スキーです。土曜日の前半は冬型の気圧配置が残ることから、日曜日にロングコースを計画し、土曜日は栂池周辺で軽く滑ることにしました。

4月21日(金)の晩に自宅を出て途中の道の駅で車中泊し、22日(土)の9時に栂池ゴンドラ乗り場の駐車場でTさん、Kさんと合流しました。山はガスで全く見えず、駐車場でも冷たい風が吹いていました。

ゆっくり支度をしてからゴンドラに乗車。白一色のガスの中を上りましたが、終点でガスの上に出ました。ロープウェイを乗り継ぎ、山頂駅で腹ごしらえをしてから11時40分に出発。栂池自然園の雪原を進んでゆくと、時折青空が顔を出し、白馬岳の山腹が見え始めました。展望湿原の北側の尾根を小蓮華岳方向へ登ってゆきます。次第に青空が広がり、八方尾根や小日向山が雲の間に浮かぶ雄大な風景の中の登高に心が躍ります。15時まで登り続け、標高2470メートル地点で折り返すことにしました。

シールをはがして滑降モードに切り替え、ザラメ雪の広大な斜面に思い思いのシュプールを描きました。栂池自然園から振り返ると主稜線はまだ雲に包まれており、白馬岳だけが雲から出ていました。ロープウェイの下を滑り、ゴンドラ駅から下はスキー場を快適に飛ばしました。山麓では既に雪が消えていましたが、スキーで下れるように雪の道が作られており、最後まで滑ることができました。

このあとKさんのギャラリーに寄ってコーヒーで一服し、その後はとてもここには書けない良い思いをして1日が終わりました。
2017年4月29日(土)
古賀志山

赤川ダムの逆さ古賀志山


富士見峠下のカタクリ


尾根上のあちらこちらにアカヤシオが

少し日にちが経ってしまいましたが、4月16日(日)に日帰りで登った古賀志山の記録です。久しぶりにかみさんと二人です。今回の目的は、カタクリとアカヤシオを見ること。

早朝4時過ぎに横浜を出て、高速代を奮発して都内を通り抜け東北道へ。ほとんど雲のない素晴らしい晴天です。鹿沼が近づいてくると、左手、日光の山の手前に古賀志山が見えてきました。小さいながらもゴツゴツとした山容が特徴的です。鹿沼インターを下りれば、間もなく登山口の宇都宮市森林公園の駐車場に到着しました。

7時50分に歩きはじめした。車道を5分ほど上ると赤川ダムの堰堤の上に出ます。バックウォーターに古賀志山と桜が映っていました。春というより初夏の陽気になり、実に長閑な眺めです。湖岸を進み北コースの入口まで来ると、ロープが張られて通行止めになっていました。けれどもロープの脇には立派な踏み跡があり、明らかに皆が通っている雰囲気です。我々も構わず足を踏み入れました。通行止めの原因はすぐに分かりました。小さな沢に架かっていた橋が落ちていましたが、小さな流れなので飛び石伝いに問題無く渡ることができました。歩きやすい登山道を緩やかに登ってゆきます。次第に傾斜が急になり、富士見峠の手間でちらほらとカタクリが咲いていました。富士見峠で一休みして、ここから古賀志山山頂へはほんの15分ほど。10時20分に頂上に到着しました。

ベンチのある山頂は木に囲まれていますが、間から日光の男体山と女峰山が見えました。また、麓の町が思いのほか近くに見え、小さな山だということを実感しました。

山頂直下の東稜見晴らしに立ち寄ってから富士見峠まで戻り、稜線をアップダウンしながら北上すると、あちらこちらにアカヤシオが咲いていました。踏み跡が多く分岐しており、意外に道が分かりにくく慎重にルートを選びます。559メートル標高点では、満開のアカヤシオの向こうに日光の雪山が望まれました。

中尾根に向かいます。岩場を慎重に下り、トラバースして中尾根上に上がるルートですが、踏み跡に引っ張られて谷を下りかけてしまい、一旦引き返して無事中尾根に乗りました。尾根上のあちらこちらにアカヤシオが咲いていました。496メートル標高点の手前でまた踏み跡に引っ張られてしまい枝尾根を下りかけてしまいました。496を越えて下ってゆくと尾根の北側斜面に見事なカタクリの群落がありました。ほとんどの花が既に終わっていたのが残念でしたが、ちらほらと綺麗に咲いている株も見られました。カタクリ群落の中をぐんぐん下ると麓の車道に出ました。湖畔の桜を見ながらのんびり歩き、駐車場に14時に到着しました。

時間が早かったので、一般道をのんびりと帰途につきました。

2017年3月28日(火)
頸城山塊 山スキー(2)

アマナ平からの高松山
左の雪稜を登ります



高松山からの火打山(左)と焼山


鉾ヶ岳を見ながら滑るTさん

3月20日(日)は4時に起床。期待通りの星空です。急いで朝食を食べてから、登山口の笹倉温泉へ。

朝の冷え込みで、前日のトレースがツルツルに凍っており、尾根の取付からスキー靴にアイゼンを着けて登りました。途中から足が潜るようになったためシール登高に切り替えましたが、荒れて凍った雪面のトラバースでは難儀しました。最初の急登を抜けると、眼前に純白の山々が広がり、登高意欲をかき立てられます。ここからしばらくは緩やかな上りが続きます。アマナ平に出ると、広大な雪原の向こうに、火打山、焼山、そしてこれから向かう高松山がずらりと聳えていました。雪原を横断して、高松山への尾根に取り付きます。疎林の急斜面にシールを効かせてぐんぐん登って行きます。森林限界を抜けて尾根の屈曲点に出ると、目の前に焼山が聳えていました。雄大なロケーションの中、気持ちの良い雪綾歩きです。頂上直下の急斜面はスキーを背負ってツボ足で登り、雪庇の切れ間から頂上に立ちました。

大展望を満喫してから、反対側の一ノ倉川へ滑り込みます。ノートレースの素晴らしい斜面をTさんと写真を撮り合いながらぐんぐん標高を下げてゆきます。風がない谷の中は暑く、汗だくです。緩やかになった谷間を滑り、数カ所のデブリは脇を通り抜けて、標高800メートルの雪原に出ました。ここでシールを着け、先行トレースに導かれて新田山のコルまで、雪の斜面となった林道をトラバース気味に登って行きます。途中でザーッという音がしたので見上げると、雪庇が崩壊し雪崩が目の前10メートルほどの所を落ちてゆき、肝を冷やしました。Tさんとお互いを監視しながら、危険地帯を急いで通り抜けました。
コルまで来ればひと安心。すっかり重くなった雪を滑り、最後に早川を渡って笹倉温泉に戻りました。

温泉に入ってさっぱりしたところで、もう1泊するというTさんと別れ、帰途につきます。現地を16時半に走り出し、糸魚川から中央道経由のルートを走り、なんとか日付が変わる前に横浜の自宅に帰り着くことができました。いやー、遠かった。

2017年3月26日(日)
頸城山塊 山スキー(1)

霧に包まれるブナ林(放山山頂付近)


霧の中を登る

春分の日の三連休は、頸城山塊を滑ることになりました。Tさんから「18日(土)の朝7時に笹倉温泉の駐車場に集合」との連絡が入りました。あまりにも遠く、毎週末の山スキーで疲れていたこともあり、朝7時はとても無理。土曜日の朝自宅を出て夕方に現地で合流することにしました。

当日は費用節約のため高速道路を極力使わず、渋滞で予想以上に時間がかかりましたが、17時過ぎに日本海に面した道の駅「マリンドリーム能生」でTさんと合流しました。この日、Tさんは昼闇山に登り、パウダースキーを満喫したとのこと。明日の天気予報が悪い方に変わったため、明日はシャルマン火打スキー場から放山の軽いコースと決め、いつものように車中宴会をしてから寝ました。

翌19日(日)、スキー場のリフトの時間に合わせてゆっくり出発。海沿いには全く雪はありませんでしたが、車で30分ほどのスキー場は豪雪地帯で2メートルは積もっており、ちょっと不思議な気分です。リフトを降りた所が標高約1000メートル、放山が1189メートル、ほんのわずかな登りです。予報通りの天気で濃霧の中を登りますが、前日のトレースがしっかり残っているため迷うことはありません。ゆっくり登って1時間ほどで頂上に着きました。

ガスに包まれた頂上で40分ほど待機しましたが晴れる気配はなく、ガスの中を慎重に滑ってスキー場へ戻りました。最後はゲレンデを気持ちよく滑り、昼前に車に戻りました。
柵口温泉権現荘で暖まってから地元のスーパーで買い出しをして道の駅に戻りました。1時間ほど昼寝をしてから今日も車中宴会。明日は終日晴れの予報なので、帰宅が遅くなることは覚悟の上で、高松山へ登ることになりました。

2017年3月25日(土)
阿寺山 山スキー

雪降る中を出発


ラッセルしながら登る


ジャバミ沢を滑るTさん

3月11日(土)、、天気の回復が遅れ気味との判断から、降雪中でも行動可能な阿寺山へ行くことになりました。いつものように前夜発で途中の道の駅で車中泊し、朝7時に登り口の広堀橋に集合しました。今回のメンバーはTさん、Yさん、Iさんとの4人です。我々以外にも数パーティーが出発の準備をしていました。

他のパーティーと一緒に一列になって出発。先頭を交代しながら林道をラッセルしてゆきます。静かに降る大粒の雪がとてもムーディーです。林道の終点から急な尾根に取り付きました。ブナ林の中をジグザグを切りながら標高を上げると、幻想的な霧氷の森になりました。時々雪がやみ、ガスの切れ間から越後平野を眺められました。傾斜が緩くなると頂上台地ですが、再びホワイトアウトになり、まさに五里霧中の状態。展望を楽しめなかったのが残念でしたが、風も出てきて体が冷えてきたので「この辺が頂上」と決めて滑降モードに切り替えました。

視界がきく所まではゆっくり滑り、見えるようになったらパウダーたっぷりのブナ林の豪快な滑降となりました。標高1250メートルの小平地で一旦休憩を入れてから、ジャバミ沢に滑り込みます。非常に重たいパウダーなので、やっとこさと苦労しながらターンを刻みました。そこでトラブル発生。自分でイメージした半径で回りきれず、木に激突してしまったのです。ヘルメットが凄い音を立て、そのまま転倒。板もストックも重たい雪に捕まれてしまい、身動きがとれません。他のメンバーが気づいて待っていてくれたので焦りはありませんでしたが、脱出するのに5分くらいはかかったと思います。その後はすっかり腰が引けてしまい、まともに滑ることができませんでした。なんとか林道まで下ったところで休憩。ヘルメットを確認すると、ぶつかった所が見事に凹んでいました。ヘルメットを被っていて本当に良かったと心底から思いました。右肩も少し痛めてしまっているようです。のんびり林道を滑り、無事車に戻りました。

このあと六日町温泉に寄り、Yさん、Iさんと分かれ、いつものようにTさんと夕食の買い出しをしてから 道の駅で車中宴会となりました。

12日(日)、起きてみると右肩が思いのほか痛く、とてもストックを振れる状態ではありませんでした。山に登るのを諦め、蓬峠へ行くというTさんと別れ、帰途につきました。

2017年3月14日(火)
仙ノ倉山、東谷山 山スキー(2)

山頂直下のブナ林を登るTさん


東谷山山頂に憩う登山者と苗場山

5日(日)の朝は曇り空でしたが、このあと晴れるとの予報です。今日は短めのコースをということで東谷山を滑ることにしました。下山口となる貝掛温泉入口にある国道脇の駐車場に車を1台置き、もう1台の車で登り口の田代スキー場の駐車場に向かいます。二居集落からシールを着けて登り始めました。今日はスキー、ボード、歩きの様々なパーティーで山は大賑わい。林道を1ピッチで二居峠。ここからの尾根は細く、雪面も堅いので、途中からスキーを背負いました。やがて尾根が広くなり感じの良いブナ林となりました。再びスキーを着けて登ってゆくと、広々とした山頂に到着しました。

前回来た時は天気が悪く一面真っ白でしたが、今日は仙ノ倉山から平標山、日白山、苗場山など素晴らしい眺めです。春霞がかかってしまい写真にはなりませんが、明るい春山のムードを満喫しました。

貝掛温泉へ向かって北西の沢へ滑り込みます。尾根上の雪からは想像がつかないパウダーが残っており、ブナの樹間を気持ちよく滑ることができました。何度も立ち止まりながらもぐんぐん標高を下げ、あっという間に国道に出てしまいました。国道をトンネルでくぐり抜けると間もなく駐車場に到着しました。

もう1台の車を回収し、すぐ目の前の宿場の湯に立ち寄り、さっぱりしてから帰途につきました。

2017年3月13日(月)
仙ノ倉山、東谷山 山スキー(1)

ヤカイ沢を登る


イイ沢を滑るTさん


イイ沢のシュプールを振り返る

週末に移動性高気圧がやってくるとの予報に、いつものTさんから山スキーのメールが入りました。

3月3日(金)の晩に横浜を発ち、途中の道の駅で車中泊し、4日(土)の朝に平標山登山口の火打峠でTさん、Yさんと合流しました。久しぶりに冷え込んでいますが、素晴らしい晴天です。我々の他にも大勢の山スキーヤーが準備をしていました。前日の降雪で、別荘地の車道からスキーを着けて歩くことができます。除雪されていない林道に入ると、今年の積雪の多さが実感できました。林道をはずれてヤカイ沢を登ってゆくと、前方に平標山の頂綾が朝日を受けて青空に映えていました。ブナ林の中をジグザグに標高を上げて稜線に抜けると、仙ノ倉山のたおやかな山容が眼前に広がりました。平標山をトラバースして仙ノ倉山とのコルに出ます。コルから仙ノ倉山まで、稜線をびっしりと覆うエビノシッポを撮影しはながらゆっくり登り、ちょど昼頃に仙ノ倉山山頂に到着しました。

山頂は大勢のスキーヤー、ボーダーで賑わい、皆あちらこちらへ滑ってゆきます。滑りはじめはどこもガリガリのアイスバーンとなっており、ガーッと凄い音が聞こえてきます。

我々も仙ノ倉山東尾根へと滑り込みました。イイ沢の下降点まで、表面が柔らかい雪を求めて尾根の東斜面を巻きながら下ります。予定ではもう少し先のダイコンオロシ沢を滑るつもりでしたが、イイ沢の雪の状態がよさそうだったので、ここから滑り込むことにしました。Yさん、Tさん、私の順でドロップイン。谷の中はパウダーが溜まっており、若干重い雪ながら自分の技術でもなんとか対応できました。けれども、途中で足がつって転倒してしまい、その後は何度も立ち止まりながらなんとか仙ノ倉谷出合まで下りました。出合で休憩したあとは、だらだら斜面をのんびり土樽の毛渡橋まで滑りました。

タクシーで火打峠に戻り、スキーは今日だけというYさんと分かれました。湯沢で温泉に入ってから買い出しをして、みつまたの道の駅でTさんと車中宴会をして気持ちよく酔いました。

2017年3月1日(水)
2017全日本山岳写真展 作品選考会

9月の写真展の準備が早くも佳境を迎え、2月25日(土)・26日(日)の2日間をかけて、会員の部の作品選考を行いました。昨年までは1日だけで全作品の選考を行っていましたが、今回はピントのチェックや大伸ばし作品の選出、さらにはタイトルの確認まで、しっかり時間をかけました。
全体の傾向として山を正面から写した好作品は少なく、ネイチャーフォトに近い作品が多くなっているように感じられました。また、太陽が低い時間帯から活動している人は撮影場所にに関わらずしっかりと作品を作っており、光線条件の大切さがよく分かります。まさに早起きは三文の得ですね。
毎年、色々な事を考えさせられますが、選出された約250点の作品がずらりと並んだ様子は壮観です。その中からポスター、案内ハガキ、作品リストに使用する作品を選出して作業を終えました。

2017年2月9日(木)
大戸沢岳、会津駒ヶ岳 山スキー

ブナの尾根を強風が吹き抜ける


雲が取れ山頂が見え始めました


Yさんの華麗な滑り


デブリで埋まる下大戸沢

2年ぶりの山スキーで、会津の大戸沢岳へ行ってきました。

2月3日(金)の晩に横浜を発ち、東北道の西那須野塩原ICを夜半に下り、道の駅たじまで車中泊。

翌4日(土)早朝の凍結した道を慎重に走り、7時半に檜枝岐手前の下大戸沢スノーシェッドで今回一緒に登るTさん、Yさんと合流しました。大陸から移動してきた高気圧が乗り、絶好の山スキー日和になるという期待に反し、上空では雲が激しく流れ、風の音もしています。準備を整えて8時に尾根ルートを登り始めます。トレースがばっちりなのでシールを効かせて快調に標高を上げますが、次第に強風が吹き付けるようになりました。なんとブナ林の中にシュカブラが出来ており、激しく舞い上がる雪煙に太陽が滲みます。体感温度がどんどん下がり、モチベーションも下がる一方。標高1550メートルの小鞍部で先行していた知り合いのパーティーが待機していました。彼らと一緒に行動していたIさんとここで合流。ここから南の斜面を下るという知り合いパーティーと別れ、我々4人はこれから天気は回復方向と信じて再び登り始めました。すると嘘のように風が弱くなり、山頂部を隠していた雲が切れてきました。最後の無木立の大斜面を登れば大戸沢岳の山頂です。残念ながらまだ雲が多く、遠望はききませんでした。

そそくさと滑降準備をして、北東の尾根に向かって飛び込みました。雪質は重めのパウダーでまずまず楽しめましたが、ブナ林に入るとシュカブラで雪面が大きく波打ち、難渋させられました。何度も転倒し、足をガクガクにしながらも一気に標高を下げ、デブリだらけの下大戸沢に滑り込みました。スキーが上手い仲間が羨ましくなります。ここからもデブリとモナカ状の雪で足はヨレヨレ。何度も立ち止まりながら、なんとか車まで下りました。

今日の宿は檜枝岐の民宿、吉田屋。駒ノ湯でさっぱりしてから部屋でのビールが本当に美味い。夕食も食べきれないほどのご馳走に大満足でした。

翌5日(日)、快晴の朝を迎えましたが、予報では昼から崩れるとのことなので、Tさんと二人で会津駒ヶ岳のブナ林を滑ることにしました。ゆっくり朝食とコーヒーをいただいてから宿を出ました。登山口の滝沢橋から林道を歩きます。林道脇の沢は、いつもは流れの中の岩が雪帽子になっていますが、今年は流れがほとんど埋まっており、雪の多さを実感します。林道を離れて快調に標高を上げてゆきます。1時間ほど登ると、上空に着実に薄雲が広がってきました。さらに1時間、無雪期の水場まで登り、ここから登って来た尾根の左側のブナ林を滑ることにします。滑降準備をしている間に遠くの山が降雪で霞み始めました。昨日の日差しの状態を想像しながらパウダーが残っている斜面を拾います。意外に良い雪が残っており、昨日の大戸沢岳よりも快適な滑りを楽しむことができました。予定通り昼前には下山し、雪が舞い始めた中を帰途につきました。

2017年2月1日(水)
北横岳撮影会(2)

今回のメンバー

翌22日(日)は5時半に起床。風の音が聞こえています。身支度を整えて外に出ると、雪が降っていました。とにかく登ってみることにして出発します。風を避けて頂上直下の樹林の中で待機するうちに明るくなってきましたが、天気が回復する様子はありませんでした。

諦めて小屋に戻り、温かい朝食を食べてほっと一息。天気は相変わらずなので、早めに下山することになりました。小屋の前で集合写真を撮ってから小屋を後にしました。雪がしっかり踏まれて舗装道路のように快適な登山道を一気に坪庭まで下ります。坪庭は吹きっさらしで、サングラスが凍って前が見えないのには閉口しました。

今日もロープウェイ駅の無料休憩所で荷物を片づけ、軽く腹ごしらえ。ロープウェイに乗り、下るうちに雲の下に出ました。下界は雪は降っておらず、穏やかな天気でした。10時半に他のメンバーと別れ、帰途につきました。時間が早かったため中央道では渋滞が無く、談合坂SAで昼食を食べ、夕方には帰宅することができました。

2017年1月30日(月)
北横岳撮影会(1)

山頂駅を出ると登山者とスキーヤーで大賑わい


午後は青空が広がりました


北横岳からの蓼科山

全日本山岳写真協会の冬の撮影会に参加しました。今回の目的地はお手軽な冬山、北横岳です。

1月21日(土)の朝、車で晴天の横浜を出発。甲府まで来ると、寒気の影響で南アルプスも八ヶ岳も雲に包まれていました。中央道は須玉から先はチェーン規制とのこと。双葉SAでゆっくり朝食を食べ、渋滞を避けて韮崎で高速を下りました。カーナビに従って七里岩ラインを走ります。交通量は少なく快適なドライブです。途中から雪道になりました。八ヶ岳を長野県側に回り込んで行くと本格的に雪が降り始めました。北八ヶ岳ロープウェイの駅に10時半に到着。

11時20分に茅野からのバスで来た他のメンバーと合流。今回は総勢10名です。早速、スキーヤーで満員のロープウェイで山の上へ。山頂駅の無料休憩所で腹ごしらえをしてから、北横岳ヒュッテ目指して出発。天気は回復傾向で、時折雲が切れて日が差すようになりました。平坦な坪庭から、急斜面をジグザグに登る所では青空も見えるようになり、樹氷が付着したダケカンバが白く輝いていました。急斜面を抜け、クリスマスツリーの樹林帯を少し歩くと北横岳ヒュッテに到着。宿泊の受付をしてから横岳頂上へ向かいます。頂上はやや風が強く厳しい寒さでしたが、刻々と変化する光に、色々と構図を工夫しながら撮影を楽しみました。夕日になる前にガスってしまい、体もすっかり冷えきってしまったので、撮影を切り上げて小屋へ下りました。

小屋は暖かく快適そのもの。夕食は豪勢な鍋で、食べきれないほどのボリュームがありました。食後、ストーブがある玄関の土間で談笑タイム。若い女性3人組が夕方の頂上の写真を見せてくれましたが、なんと我々が下った後でガスが晴れ、八ヶ岳南部の山まで見えたとのこと。全員が地団太を踏んで悔しがったのはいうまでもありません。(笑)
明朝の撮影に期待しつつ、布団に入りました。

2017年1月4日(水)
年末山行(3)

モルゲンロートの甲斐駒ヶ岳


北岳バットレスが正面に

31日(土)、日の出前に観音岳まで行くつもりで3時に起床。朝食を食べ、しっかり着込み、機材一式を持って出発しました。薬師岳から観音岳への稜線で、なぜ明るくなってこないのだろうと思って時計を見て、間違って1時間も早く行動を開始していたことに気づきました。真っ暗なうちに観音岳に着いてしまいましたが、結果的には甲府の夜景や黎明の山々を撮影することができ、ラッキーでした。ただ風が強く、ブレとの戦いでした。明るくなるにつれて他の登山者も上がってきました。大気が澄んでおり、日の出とともに美しく色づいた山々に、霧中でシャッターを押しました。満足して引き返します。薬師岳まで、右に純白の白峰三山を眺めながらの稜線漫歩です。これまでに何度も撮影した風景ですが、それでも撮影せずにはいられない美しさでした。

テントに戻るとお茶を沸かして大休止。しっかり腹ごしらえをしてからテントを撤収しました。砂払岳へ登り返し、大展望に別れを告げて南御室小屋へと下ります。ここから苺平へ登り返し、さらに杖立峠への下りも最後に登り返しがあり、下山も楽ではありません。杖立峠からは一気に夜叉神峠まで下り、小屋の前のベンチでほっと一息。久々のテント山行で結構疲れました。最後は、太陽が低くなりすっかり日陰となった峠道を駐車場までのんびりと下りました。

大晦日の中央道の上りはきわめてスムーズに流れており、19時過ぎには帰宅できました。

2017年1月3日(火)
年末山行(2)

砂払岳直下からの眺め


シュカブラと八ヶ岳(薬師岳にて)


夕照の観音岳

30日(金)は3時に起床。コーヒーで暖まってから白峰三山と星の撮影に出ました。ちょうど三脚をセットしている最中に大きな流れ星が出現し、あと5分早く行動していたらと後悔しましたが、こればかりは運なので仕方がありません。もう一度流れ星が出ることを期待しながら何枚もシャッターをきりました。ふと斜面の下の方を見ると、沢山の目が光っていました。夜中に声がしていたので、鹿でしょう。

テントに戻って朝食を食べてからテントを撤収し、ヘッドランプを点けて出発。東の空が白みはじめ、木の間越しに白峰三山がほのかに赤みを帯びて浮かび上がっています。歩き始めて30分ほどで富士山の左から太陽が顔を出しました。
杖立峠までの長い上りは覚悟してとりかかったためか、意外に早く終わりました。ほとんど雪が無く、登山道が夏と同じ状態で歩きやすく、行程がはかどります。杖立峠から少し下り、今度は苺平への長い登り。苺平の手前で雪が現れツルツルに凍っていたため、アイゼンを着けました。苺平から完全に雪の上を歩くようになりました。南御室小屋ではありがたいことに水が出ていたので、持って上がることにしました。小屋の前で腹ごしらえをしてから、水で重くなったザックを背負って今日最後の登りにとりかかります。森林限界を抜けるとふらつくほどの強風が吹いていましたが、素晴らしい眺めが広がりました。砂払岳から薬師小屋の鞍部へ下り甲府側の風が当たらない場所にテントを張りました。

少し休んでから、夕方の撮影に出かけます。薬師岳に上がり、わずかに残ったシュカブラを工夫して前景に使ったりしながら、日没まで粘りました。
テントに戻ると、温度計はマイナス15度を指していました。ラジオの年末番組を聴きながらゆっくり夕食を食べ、19時半にシュラフに入りました。

2017年1月2日(月)
年末山行(1)

夜叉神峠への冬枯れの登山道


夜叉神峠からの北岳

新年あけましておめでとうございます。
年末に南アルプスの夜叉神峠から観音岳を往復した報告です。

当初の計画では南部の上河内岳へ登る予定でした。仕事納めの12月28日(水)の夜9時に車で家を出発。東名高速に入り新静岡を目指しますが、なんと東名と新東名の両方で事故渋滞が発生しており1時間半のロス。日付が変わってから新静岡ICを出て、登山口の畑薙第一ダムへ向けて車を走らせます。ところが、今度は土砂崩れで八木尾又から先が通行止めとの表示が。これでは上河内岳は諦めざるを得ません。ガックリきてしまいましたが、とりあえず寝る場所を探し、安倍川のバーベキュー広場?の駐車場に車を止めました。

29日(木)はすっかり明るくなってから目を覚ましました。朝食を食べながら、これからの行動を考えます。すっかりテンションが下がってしまい、一旦はこのまま帰ろうかとも思いましたが、気を取り直して考え、地図無しでも行ける場所として通い慣れた鳳凰三山の観音岳へ転進することにしました。
家に計画変更の連絡を入れて、富士川街道を甲府へと向かいます。途中で一時雨が降りましたが、夜叉神峠登山口に着く頃には気持ちよく晴れ上がりました。

腹ごしらえをしてから水を汲んで出発。久しぶりの重荷なのでゆっくり歩きますが、徐々にペースをつかみ、順調に標高を上げます。
夜叉神峠では、午前中に降ったと思われる雪が日陰にちらほら残っている程度。北岳に午後の柔らかな光が降り注いでいました。高谷山寄りのポイントで白峰三山を撮影してから、峠の小屋の前のキャンプ場にテントを張りました。

夕日に染まる雲を撮影してから夕食をべ、夜はテントと星の撮影。ほとんど風が無い穏やかな夜です。気温ー5度C。

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