ハリ・ラヤ・プアサ (Hari Raya Puasa )

ハリラヤ・プアサは、マレー正月と呼ばれている。ただし西暦の新年のようにそれぞれの暦の初めを意味するものではないのです。
イスラム暦は太陰暦に基づいていますが、1年を十ヶ月に分け、9番目の月(Ramadan )が断食の月と定められていて、10番目の月の最初の日がHari Raya Puasa となります。マレー語でHari は、”日”、Raya は”偉大な”、Puasaは、”断食”のことで、文字どおり一ヶ月の断食が開けたすばらしい祝日を示しています。 Ramadanの時期は、7歳以上のムスリム(イスラム教徒)は、日中(夜明けから日没まで)の飲食や喫煙を禁じられているだけでなく、娯楽も慎み、常より熱心な信仰に励み、自分の感情や欲望をコントロールして心おだやかに生活することに努めます。貧富を問わず、全世界のムスリムが一斉に試練の期間を経験することで信徒相互の連帯感を高め、富める者は、恵まれない人へのいたわりの気持ちを持つようになります。ただし、病人、妊婦、高齢な老人、6歳以下の子供達は断食を免除され、体調が悪い等の理由で断食が出来なかった時は、後日その日数分を補充することも可能です。

Ramadan期間、人々は米や砂糖を寄付したり献金したりしますが、献金額の一応の目安は、その年の米の価格によって決められるそうです。
(’97では家族一人あたりシンガポール2ドル80セントだそうです。 ムスリム協会調べ)
この献金や寄付によってモスク(イスラム寺院)では、大鍋に雑炊を作り、日没後の食事として信徒に振舞います。
一方各家庭では、家の内外を磨き上げ、晴れ着を整え、ご馳走の材料を仕入れるなど忙しく、ゲイラン・セライ地区ではライト・アップをして露店が建ち並び、客を呼び込む掛け声が盛んです。
いよいよハリラヤ・プアサ当日になると、新調の服を身にまとい、先ずモスクに出かけて合同礼拝に参加します。礼拝が終わると先祖の墓参りに出かける人もいます。そして帰宅すると家族そろって新年の挨拶をまじ交わしてから。待ちにまったご馳走を摂ることとなります。この時に欠かせない食べ物は、うるち米やもち米を炊いてから餅状につふして丸めた「ケトゥパ」というものです。食事が終わると友人や親類を訪問しあい、無事に断食を終了して祝日を迎えることができたことを共に喜びつつ歓談の時を過ごします。

新年に餅を食べるのはアジアの米文化に通じる所があるのでは、ないでしょうか?
日本のお餅、中国正月に食べる(ねんがお)、そしてこのケトゥパなどです。

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